Bones Brigade

: An Autobiography

text : ayako nakamura

いま30代から40代の大人たちが少年だった頃、彼らを夢中にした「Bones Brigade」というスケートボードチームがあった。スケートカルチャーに詳しくない人でも、トニー・ホークというスケーターの名前は聞いたことがあるかもしれない。またはかっこいいミュージシャンとしてトミー・ゲレロを知っていて、彼がスケーターであることは知っているかもしれない。それとも、世界で最も売れていると言われる、VANSから出ているスティーブ・キャバレロのシグニチャースケートシューズ「Half Cab」を見たことぐらいはあるかもしれない。彼らが皆、Bones Brigadeの出身だと聞けば、とんでもないスター集団だったことが想像できるだろうか。

そのBones Brigadeのドキュメンタリー映画『ボーンズ・ブリゲード』が公開された。映画を観ると、いまでは当たり前になっていることを最初に始めたのが彼らだと知って驚くだろう。たとえばスケートボードのビデオを初めてリリースしたのは彼らだ。そこにはかっこよく滑っているシーンだけでなく、彼らが失敗したり悪ふざけしたりする様子も収められ、少年たちはこぞって彼らの真似をした。映画の中で、スパイク・ジョンズが彼らのスタイルや喋り方すべてに影響を受けたと話しているが、そう知って彼の初期のミュージックビデオを見ると、なるほどと思う。いまではスケートボードでストリートを滑ることも当たり前になっているが、Bones Brigadeの2作目のビデオ「Future Primitive」('85) でトミー・ゲレロがサンフランシスコのダウンヒルを滑り、オーリーで低い植え込みを飛び越えるのを見て、それまでプールやランプの中にいたスケーターたちがストリートに飛び出したと知れば、いまのスケートシーンの礎を築いたのが彼らだと言われることにも納得がいくだろう。

こういった逸話が次々に飛び出す本作は、スケーターでなくても、少なくともスケート周辺のストリートカルチャーに興味がある人にとっては、そうとう楽しいものであることは間違いないが、それだけではない。『ボーンズ・ブリゲード』は、よきライバル同士が切磋琢磨し合った青春のドキュメンタリーだとも言えるし、スケートボードに対する情熱をビジネス上の成功にまで昇華させた彼らの真摯な挑戦の物語でもある。

今回は、現役のスケーターでスケートDVD「LIGHT HILL IZM」を完成させたばかりのJ-ONEこと榊原淳一と、中学生時代にBones BrigadeのファンだったというUNZIP編集部の竹内勇季の二人に話を聞きながら、本作の魅力を探ってみよう。


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『ボーンズ・ブリゲード』
Bones Brigade: An Autobiography

2012年12月1日より、シネマライズにてロードショー

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Bones Brigade時代にリリースされたビデオは日本では手に入れるのが難しくなっていますが、アメリカのAmazon.comではDVDの取扱いがあります。日本への配送も可能です(※お持ちのDVDプレーヤーのリージョンによって再生できない場合がありますのでご注意ください)。