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Moonrise Kingdom

Directed by Wes Anderson

キーワード “5”
ユニフォーム

コスチューム・ライクな衣装やお揃いのユニフォームは、ウェス・アンダーソン作品の楽しみのひとつ。本作『ムーンライズ・キングダム』でも、ボーイスカウトの衣装350着分をスタッフの手作りで用意したそうだ。子供たちの胸のアライグマのワッペンはなんと手縫いだという。

『ロイヤル・テネンバウムズ』ではベン・スティラー演じるチャスと二人の息子が常に赤いアディダスのジャージを着ていたり(1シーンだけ黒いジャージになるのにも注目)、その妹弟もルパン三世並みに何着も同じ服を所有していたが、個人的に一番好きなのは『ライフ・アクアティック』の海洋冒険隊“チーム・ズィスー”のユニフォームの、水色の上下に赤いニットキャップというスタイル。中でもウィレム・デフォーのショートパンツ姿は最高だ。

こういったこだわりは、衣装だけではなく小物でも同様だ。『ムーンライズ・キングダム』ではボーイスカウトのテントをすべて特注で作ったというし、『ダージリン急行』で3兄弟が持っているお揃いのスーツケースは、なんとマーク・ジェイコブズが映画のために作ったルイ・ヴィトンのものだった。

キーワード “6”
文字へのこだわり

ウェス・アンダーソン作品には、舞台のように「序章」「第1章」など章題が律儀に挿入される。その文字やタイトルロゴも毎回素晴らしい。『ムーンライズ・キングダム』で使われている文字はJessica Hischeというデザイナーが「Edwardian Script」というフォントをベースに完成させたもので、フランスのクロード・シャブロル監督作品のタイトルが参考になっているそうだ。エンドロールのモーション・タイポグラフィもとても良いので、是非席を立たずに最後まで観てほしい。

これまでのすべての作品でウェスの文字へのこだわりは見ることができる。『天才マックスの世界』では、いくつものクラブをかけもちする主人公がカリグラフィ部の部長も務めていて、カリグラフィの文字がとても効果的に使われていた(先日久しぶりに観て、思わずカリグラフィ・キットを買ってしまったほどだ)。フォントは「Futura」がお気に入りのようで、これまでの作品の中のさまざまなシーンでFuturaの文字を見つけることができる。

キーワード “7”
60〜70年代

これまでの作品で、現代が舞台でも70年代風のヴィンテージっぽい色合いの映像だったり、60年代の音楽をよく使っていたりと、60〜70年代のものが好きな監督という印象は多くの人が持っていると思う。『ムーンライズ・キングダム』の舞台は、1965年。ただ、この設定は意図したものではなく、偶然だそうだ。また、ウェス自身は60年代のノスタルジアに興味があるわけではなく、たまたまその時代の音楽が好きなだけだと語っている。

とは言え、最も影響を受けた映画人としてよく名前をあげているのは、マーティン・スコセッシやピーター・ボグダノヴィッチだし、お気に入りの作品として『アパートの鍵貸します』などのビリー・ワイルダー作品をあげていたこともある。古きよき時代を敬愛していることは間違いなさそうだ。