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THE ADVENTURES OF TINTIN:
THE SECRET OF THE UNICORN

「タンタンの冒険」にみる
20世紀の名車

エルジェが正確な描写にこだわったおかげで「タンタンの冒険」では政治的な内容だけでなく、20世紀の車の歴史も見ることができる。シトロエン、フォード、ビュイック、ジャガー、などなど、実に数多くの名車が作品に登場することからもわかるように、エルジェはたいへんな車好きだったそうだ。

「タンタンの冒険」に登場する車だけを解説した「TINTIN HERGÉ LES AUTOS」という本があるが、これがとても面白い。残念ながら日本語訳されていないので、辞書を片手に読むしかないのだが、挿絵や写真が多く、眺めているだけでも楽しむことができる。

ではエルジェはどんな車が好きだったのだろうか。旧い車にも詳しい、旧車を中心としたカスタムバイクを手掛けるバイクショップ Animal Boatの武笠大輔さんに、この本を見てもらった。

Mr.Mukasa's Comment

ゴツイ車でも、顔に愛嬌がある可愛い車が多いよね。
今のメーカーの車はどこの車かわからないものが多いけど、昔のはそれぞれ特徴がある。
こんな顔面の車は、いまは無いよね。
きっと、この作者は機能美よりも特徴のあるコミカルなルックスが好きだったんじゃないかな。

TINTIN HERGÉ LES AUTOS - éditions Moulinsart

なるほど、「タンタンの冒険」に登場する車たちは、イラストが可愛いだけでなく、実物の写真を見ても本当に可愛い。作品に登場する車の多くは、ミニチュアカーが作られて、販売されているのだが、これもまた全て集めたくなるほどよく出来ている。

このミニチュアカーはフィギュアデザイナーAndy Jacobs氏のブリュッセルのアトリエでデザインや原型を作り、中国で生産されているそうだが、原作にとても忠実に作られていて、まるで本から抜け出してきたようだ。たとえばスノーウィが助手席に乗った黄色いメルセデスのフロントガラスには、小さな銃弾の痕が二つあるといった芸の細かさ。もちろんこの車が登場する「ビーカー教授事件」を読むと、その理由を知ることができるのだ。

前述の「TINTIN HERGÉ LES AUTOS」には、現在販売されているミニチュアカーが全種紹介されていて、車好き、おもちゃ好きにとっては、物欲を刺激することこの上ない危険な本であることは間違いない。興味のある人は、神宮前にあるTHE TINTIN SHOP TOKYOで手に入れることができるので、ぜひ手に取ってみてほしい。


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TINTIN HERGÉ LES AUTOS

64ページ、ハードカバー
2,625円(税込)