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THE ADVENTURES OF TINTIN:
THE SECRET OF THE UNICORN

スピルバーグ版「タンタン」の
フランスでの評判は?

最後に映画の話に戻ろう。『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』が日本に遅れてフランスでも公開された。UNZIPでおなじみのライター兒玉ゆきこさんは現在フランス在住。スピルバーグ版「タンタン」がフランスの人たちにどう受け入れられているのか知りたくて、まずは、スピルバーグ版「タンタン」の現地での評判を教えてもらった。

from Yukiko Kodama

タンタンはフランス人じゃないけれど、フランスで「男の子」だった人たちが通過してきた古典でしょう。だから熱狂的なタンタンファンっていうのがフランスには大勢いる。少年たちから70歳のパピー世代までね。それで当然、公開前は「がっかりするに違いない」っていう声が囁かれていたものだけれど、身近な人々の感想だとか、格あるルモンド紙の映画評だとかをかいつまんで、「やっぱりスピルバーグは凄いよね、次も観に行くよね、」っていうのが総評という印象です。

なるほど。やっぱりタンタンファンの気持ちは世界共通(笑)。ところで、タンタンはヨーロッパの漫画だけど、アメリカ人のスピルバーグが監督することをフランスの人たちはどう思ってるんだろう?

from Yukiko Kodama

僕らのヒーロー・タンタンがスピルバーグの手にかかるなんてそれはもう夢の競演と踏躍歓喜せんばかりに盛り上がりましたよ。
そういえばフランス人はアメリカが苦手と思っている人って多くないかしら? けどほんとうはフランス人、結構アメリカのことが好き。きっと新大陸らしいのりや勢いが好きなんだと思う。ボリスビアンにゲンズブール、トリュフォーやゴダールなんていう「フランス代表」的な人たちがそうだったように、ある時代の時の人がアメリカの文化に憧れて影響を受けて世間との媒体になる風潮っていうのが、過去フランスには周期的に巡ってきています。
スピルバーグの『タンタン』は、第何周目かの、フランスにおけるアメリカブームに火をつけるのじゃないかしら?

これは少し意外…!だけど、とても納得。最後に、日本では'80年代にお洒落なキャラクターとして流行したタンタン、フランスではどんな存在なのか教えてもらった。

from Yukiko Kodama

タンタンはお洒落な感じしたよね。けどね、オリーブ少女の目にかなうような、タンタンの様な着こなしをみせる小洒落たフランス人っていうのはいままでフランスにいてそうそうみたこともない(パリのマレ地区辺りにでもいけばいなくもなさそうだけど…)。
まったく、わたしのまわりにもたくさんいいろいろといたオリヴァー君のほうがよっぽどタンタン的だった。
ぱっと見どこか野暮ったいところが否めないフランス人だけれど、小さな頃からタンタンの冒険譚を読んできたフランス人の「男の子たち」は、タンタンのエスプリだけはそれは間違いなくたっぷり受け継いでいます。突拍子もなくて無鉄砲でいつまでも子供なところとか、正義感に溢れているところとか。それってけどとっても粋なことじゃない?

エルジェの生み出した夢のヒーローは、世界中にファンをつくり、新たなヒーローを生み出している。インディ・ジョーンズはその代表だけど、もしかしたらこれを読むあなたの隣にもタンタンに影響された無名のヒーローがいるかもしれない。スピルバーグ版タンタンの影響で、その渦がもっと大きくなって、もっとたくさんのヒーローが生まれれば、世界はもっと良くなるんじゃないだろうか…なんて。そんな夢を見せてくれるタンタンが、いつまでも大好きだ。

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※この記事の本、フィギュア、ミュニチュアカーは全て執筆者私物。

Special Thanks : Daisuke Mukasa / Animal Boat , Yukiko Kodama


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