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Interview

『ふがいない僕は空を見た』
タナダユキ監督インタビュー

interview & photo : yuki takeuchi

—作品のなかで印象的だったシーンのひとつに、原作の文章が、そのまま文字として映し出されるシーンがありました。これも含め、脚本の段階でお話をされたことなどはありますか?

そのシーンは脚本としてあがってきた段階でもうすでにありました。最初に話したときにはそんなに細かいところまでは話していなくて、例えば、原作にある七菜の家が台風で水害にあうというところは、震災後に撮影しなければならないということもあって、映画としてそこをリアルに見せていくのは、いろいろ厳しいだろうなと、そういうことは話しました。

あとは、どうしてもわたしは群像劇にしたかったというのがありました。また、主人公の卓巳という人物を最初と最後に出したいというのはありました。原作のなかの魅力のひとつとして、その街に生きる人というものがあったので、群像劇にしたいということくらいしか伝えていなかったですが、どういう脚本が上がってくるのだろうと思っていたら、最後はあのような言葉でしめていたので、これはいいなと思いました。

—すごく最後の言葉は印象的ですね。原作とはまたひと味違ったかたちで、とても素晴らしいかたちだと思います。

—今作も、いままでの監督の作品とも共通したテーマと言える、すこし都会から離れた「街」と「人」というものがあると思います。

原作が稲城という場所だったので、できるだけその近辺というか、多摩地区でいろいろ探して、その辺を中心に探して撮影しました。わたしにとって、都会ではなく、かといって田舎でもないような感じの場所は、けっこう魅力的というか、そこでくすぶっている人、どこにも行けない感じは、そういう街だから出るのではないかなと思いました。

—たくさんの登場人物が動き、そして多くの出来事がおこる物語ですが、142分という長さも気にならないくらいにテンポもよく、とてもまとまっていて、素直に物語を追うことができました。今回の撮影や編集の段階でその長さに対して、気になされたこことはありますか?

だいたい映画って2時間くらいにおさまると、えらい人たちは喜んでくださるのですけど(笑)

—いままでの作品だと90分前後という作品が多かったですね。

そうですね。ただ、出てくる人も多いし、長いかなと思いつつも、じゃあ、どこが減らせるのだろうと検討しても、なかなか減らせる要素がなくて。とにかく撮ってから考えようというふうに撮影したたら、やっぱり120分は越えるなと思いました。じゃあ、すこしでも短くできるようにと思って編集しても、最終的には何秒縮める?というくらいになってしまうので、それならもういいんじゃないという感じになってきて(笑)。群像劇だから、142分、ひとりの人物をずっと観ていなければいけないわけではないので、そこはなんとか観に来てもらいさえすれば、そこまで長さは感じないのではないかと思い、142分で腹をくくったという。

—本当にその通りで、登場人物たちひとりひとりの表情を観ているうちに142分過ぎてしまったという感じです。

—先ほど、おっしゃっていた日本語の豊かさというものは、映像として表現するのはなかなか難しいとは思うのですが、登場人物の表情の豊かさ、とりわけ苦しげな表情が多いかと思うのですが、その豊かさというものが、表情のなかに現れていて、とても丁寧に捉えられていたなと思います。


どこまで拾えたかはわからないですけど、とにかくお芝居を撮るということに集中しようと思っていました。現場としては4年ぶりですけども、以前は日々現場でおこる小さなことにも気にかかってしまうところがあったのですが、無駄に年をとってないなと思ったのは、他のところで何かがおこっても、あまり動じずに集中できることができたので、これは寄る年波のせいだなと(笑)それはよかったなと思いました。


© 2012「ふがいない僕は空を見た」製作委員会

『ふがいない僕は空を見た』

11月17日(土)テアトル新宿他全国ロードショー

(2012年 / 141分 / 日本 / color / 1:1.85 / DIGITAL / R-18)

監督:タナダユキ
原作:窪美澄『ふがいない僕は空を見た』(新潮社刊)
脚本:向井康介
音楽:かみむら周平
出演:永山絢斗、田畑智子、窪田正孝、小篠恵奈、田中美晴、三浦貴大、銀粉蝶、梶原阿貴、吉田羊、藤原よしこ、山中崇、山本浩司、原田美枝子

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