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Interview

『箱入り息子の恋』
市井昌秀監督インタビュー

interview & photo : yuki takeuchi

— 名シーンの誕生だなと思うのですが、吉野家のシーンは本当に素晴らしかったです。

はじめて恋をして、そしてデートをするふたりにとって、はじめての昼食となったときに、素朴な食べ物からいきたいなと思いました。まさに健太郎がいつも食べているものを奈穂子に教えていくというデートにしたいなと思い、吉野家は生まれました。2度目の吉野家も、脚本を書いている途中で出てきたんですけど、過去に行ったところに、もう一度行くということも大事ですし、紅生姜や箸などが、同じ位置にあって、思い出を辿るという流れとして吉野家はぴったりでした。

— 私は、あのシーンでの健太郎がどうしてもおかしくて笑ってしまうのですが、そこがまた良くて…「では、僕、紅ショウガいれます」と、淡々と言うセリフが心に残っています。

あそこでのセリフ回しは、笑い飯の「脱脂綿」という言葉を何度も繰り返す漫才のことを思い出しながら書きました。笑い飯がM-1グランプリ2003で披露した漫才ですね。

— そんな背景があったのですね(笑)

— 私の感想では、この物語自体、起承転からまた“転”へと繋がる印象がありましたが、“結”で終わらせないような意図はあったのですか?

僕の中では、“触れる”というテーマがあるのですが、そのうえでは、点字を通して“触れる”という部分には、ある種の“結”を表したつもりです。健太郎の1回目の怪我より、2回目の怪我を経た方が彼が前向きになっている、ということでも、充分僕はよいかなと…。あとは、「その先は想像して下さい」としたかったと言いますか。健太郎と奈穂子がその後幸せに暮らしているシーンを撮りたいかどうかというと、撮りたくなかったです。こっちの都合でその後の物語を簡単に美化したくないということですね。

— なるほど。『箱入り息子の恋』は、監督自身の手で、公開前に小説化もされており、こちらはまた違った視点からも描かれていて、とても面白く読ませていただいたのですが、監督しては、映画と小説どちらを先に楽しんでいただきたいと思われますか?

そうですね…、小説買っておいてから、映画を見て、それから読んでもらいたいですね。

質問のひとつひとつに丁寧の答えてくださった市井監督。思わぬところから、監督のさまざまなキャリアが見え隠れするような映画やお笑いなどの話まで飛び出し、ますます監督自身と作品に対しする興味が刺激される結果に。また機会があれば、是非その背景の深いところも伺えればと思いました。

『箱入り息子の恋』は、6/8(土)、テアトル新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー!

『箱入り息子の恋』公式サイトはこちら!


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© 2013「箱入り息子の恋」制作委員会

『箱入り息子の恋』

6/8(土)、テアトル新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー!

(2013年 / アメリンヴィスタ / 5.1ch / 117分)

星野源/夏帆/平泉 成/森山良子/大杉漣/黒木瞳ほか
監督・脚本:市井昌秀
配給:キノフィルムズ

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