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HOLY MOTORS

a film by Leos Carax

レオス・カラックス監督
『ホーリー・モーターズ』

特別先行上映トークイベント
& 来日記者会見

text & photo : yuki takeuchi

『ポーラX』以来13年ぶりの長編となるレオス・カラックス監督作『ホーリー・モーターズ』の日本公開が、4月よりユーロスペースほかにて決定。これを記念して1月27日(日)、渋谷ユーロスペースにて、本作の特別先行上映が行われた。上映後のトークイベントにはレオス・カラックス監督本人、チェルフィッチュなどで世界的に活躍する演劇作家・小説家の岡田利規さん、司会には佐々木敦さんが登壇した。
また翌日の28日(月)には、来日記者会見も行われ、監督へ多くの質問が寄せられた。

レオス・カラックス監督の言葉の端々から作品や映画に対するの思いが伺え、また生の言葉を聞くことができる大変貴重な機会なので、長くはなるがなるべくそのままのカタチでここに掲載します。少し物語の内容に触れる部分もありあますが、映画の面白さを損なうものではと思います。4月の公開までのあいだに、期待と想像を膨らませてくれるものになってくれると思います。気になる方は鑑賞後にお読みください。
※記者会見の模様は4ページ目から

STORY
人生から人生へと旅を続けるオスカー氏の1日。彼は運転手のセリーヌだけを友に、メイク道具を満載した、舞台裏のようなリムジンで、パリの街を移動する。それぞれの場所で、ある時は大企業の社長、またある時は殺人者、物乞い、怪物、そして父親へと変身する。オスカー氏はそれらの人物なりきり、役を演じることを楽しんでいるように見えるが、カメラはいったいどこに? そして彼の家、家族、そして休息の場所はいったいどこにあるのだろうか?

1月27日(日)先行特別上映会&トークショー

会場につめかけた多数のファンの拍手によって迎えられたレオス・カラックス監督は、はじめに「『ホーリー・モーターズ』は、以前の私の作品と比べて、ずいぶん外国に行って紹介してきました。したがって以前の作品以上に、この作品については多くを語ってきました。もう言うことがないように思いますけど、今日はなんとか話をしようと思います。」と語り始めた。

映画についての映画であると同時に演技に関する映画である

佐々木さんは、本作を「これまでの作品と同様にあるいは、いままで以上に映画についての映画である、と同時に、演ずること、演技に関する映画である」と表し、映画と演劇は「演ずる、演技を中核に据えていることでは同じ兄弟みたいなところがある」と述べる。

生きていることとは何かという問いかけを、この映画で行いたかった

レオス・カラックス監督は、編集段階で映画の意味を発見したこと、そして本作は実は短い間で考え、作られている、また短期間で作るために撮影時にラッシュを見ることもしなかったと明かした。また「SFの世界にいる主人公ということで構想をしました。この主人公は俳優だと言えるかもしれませんが、ただ俳優ではなく、むしろSFの世界に生きている人物ということで、この1人の人物の1日を描きました。朝起きてから、夜に至るまでなのです。私は今日生きていることとは何かという問いかけを、この映画で行いたかったのです。ですから主人公は屠殺人であってもいいし、肉屋であってもいいのですが、そうするとなぜ彼がそれをしているのか、ということを説明するために、フラッシュバックを使わなければいけなくなってしまいます。今回のような仕組みをとることによって、さまざまな年齢、さまざまな人間の経験を1日のなかに表すことができたのです。」と話した。

佐々木さんが、ドニ・ラヴァンには演技や演出の話をされたかと問いかけると、カラックス監督は「もう十何年、長編と撮っていませんでしたから、早く何かを撮影しないと気が狂ってしまうと思った」「そのために、いくつかの要素が生まれてきました。パリで撮影をすること、低予算で撮影をすること、ビデオで撮ること、ラッシュを見ないことです。ただ、ドニ・ラヴァンを撮影するというのは、早くから私はわかっていました。彼は私が一番よく知っている俳優だからかです。よく知っていると言っても、私は実人生のドニ・ラヴァンを全く知りません。一緒に食事をしたことも一度もありませんし、友人ではありません。いまドニ・ラヴァンは私の家から200mのご近所に住んでいますが、普段は会うこともありません。彼は私と同じ年齢で、背丈も同じくらいです。出会った時は、お互いに20歳か21歳くらいの時だったでしょうか。それ以来、本当に彼と話したことは一度もありません。はじめの作品を撮ったとき、彼に対して話をしませんでした。出来上がったものを観たとき、私は彼をまるで彫像のように撮影していることに気がつきました。よく彼のことを観ていなかったのではないか、と自分で思いました。そこで2本目を撮ったとき、彼を動かし、踊らせました。今回の作品でも、それ以上のことを彼とは話していません。今回衣装を作り出さなければなりませんでしたし、メイクも発明しなければなりませんでした。それだけで、かなりの仕事でした。それぞれの人物がどのような話し方をし、どのように動くかということだけを考えました。それ以上のことを言っていません。」と答えた。


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© Pierre Grise Productions

『ホーリー・モーターズ』
(原題:HOLY MOTORS)

4月、ユーロスペースほかにて公開 全国順次ロードショー

スタッフ:監督・脚本:レオス・カラックス(Leos Carax)、撮影:キャロリーヌ・シャンプティエ、イヴ・カープ

キャスト:ドニ・ラヴァン、エディット・スコブ、エヴァ・メンデス、カイリー・ミノーグ、ミッシェル・ピコリ

提供:ユーロスペース、キングレコード
製作:2012年/フランス・ドイツ/フランス語/115分/DCP/カラー
配給:ユーロスペース

オフィシャル・サイト

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