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HOLY MOTORS

a film by Leos Carax

レオス・カラックス監督
『ホーリー・モーターズ』

特別先行上映トークイベント
& 来日記者会見

text & photo : yuki takeuchi

1月28日(月)来日記者会見

先日に続き多くの記者が詰めかけるなか会見が行われ、多くの質問が寄せられた。

相反する感情を感じないでは生きていくことはできない。自分を新たに作り替えていく必要がある。

まず、本作について変身というテーマが論点にあると思われるが、その着想をどこから得たか、それを脚本にしていく段階で苦労したことはあったかという質問に、トークイベントでも話した、相反するふたつの感情について語り、「しかし、このような感情を感じないでは、人々は生きていくことはできない。一生、同じひとりの自分だけでいることはできないのです。ある人は自自身でありつづけるために戦い、そして自分自身であることに疲れていきます。その一方で、自分を新たに作りかえていく必要を感じているのです。そこから俳優のメタファーが生まれてきたのだと思います。」と言い、主演のドニ・ラヴァンについては、映画製作においての長い付き合いを述べたうえで、「脚本を書くときに、ドニ・ラヴァンであれば、私の空想力を全く制限する必要がないのです。」と言う。私生活ではほとんど交流はないが「一度しか夕食を一緒にしたことがありません。それは『TOKYO!』の撮影中に、東京の街で、雨が降っている夜に、偶然ドニ・ラヴァンと出会ったから食事をしたという、その1回だけです。」というエピソードも語った。

続いて物語の中で墓石にウェブのアドレスが刻まれていることについて質問されると、「相反するふたつの感情を描くために、私は、SFの世界を空想しました。その世界では、人と動物と機械が支配的な世界、つまりヴァーチャルな世界に直面をして、なかば連帯をしているというSFの世界を考えたのです。サイエンスフィクションが面白いのは、それが現実を取り扱うからです。SFであれば、現実とは何かという問いかけが必ずあります。はたして、まだ現実に絶えることができるのか、実際の経験をしつづけることができるのか、まだ実体験を生きることができると私は信じたいわけですけども、はたしてまだアクションをすることはできるのか、アクションができるのであれば、そこには責任が伴います。まだ人は責任を取り続けることはできるのかどうか、そうした問いかけが生まれてきます。墓石の件は、そうした問題に関する一種のジョークです。」と説明した。

映画はいつも困難と対決して作られるもの。私はそれをすることが好きです。

また撮影現場で大変だったことはという質問には対しては、困難が映画につきまとうことは当たり前のことと述べながらも「映画はいつもそのような困難と対決して、作られるもの」「私が作っているのは、ドキュメタリーではありません。フィクションを作っているからこそ、全てのことが私の意図に対して、抵抗してくるのは当然です。」「例えば、パリでサマリテーヌ百貨店の撮影をしたいとしても、撮影する権利がない、お金があればスタジオにサマリテーヌ百貨店を再現して撮ることができるでしょう。しかし、完全にCGにもしたくありませんでした。このように現実の側から抵抗が生まれます。そして、また俳優が疲れているとか、私が疲れているとか、そう言った意味で抵抗も、困難になってやってきます。しかし、映画作家であれば、誰もがそうした困難に対決することができなければなりません。また私はそれをすることが好きです。映画の詩(ポエジー)は、映画の中にあるドキュメンタリー的な現実の部分から生まれてくるのだと思います。自分の目の前に俳優がいて、俳優の身体がある、それは一種の化学です。その身体に衣装をつけ、音楽をのせて、演出をしていかなければなりません。こうしたドキュメンタリーの部分とそうでない部分の両方がなければならない。私はヴァーチャルな世界ということを言いましたけれども、ヴァーチャルな世界に興味はありますが、ヴァーチャルな世界を無理矢理自分に押しつけられるのは嫌です。デジタルカメラの使用についても、反対ではありませんが、デジタルカメラを無理矢理押しつけられるのは大嫌いです」と語った。


© Pierre Grise Productions

『ホーリー・モーターズ』
(原題:HOLY MOTORS)

4月、ユーロスペースほかにて公開 全国順次ロードショー

スタッフ:監督・脚本:レオス・カラックス(Leos Carax)、撮影:キャロリーヌ・シャンプティエ、イヴ・カープ

キャスト:ドニ・ラヴァン、エディット・スコブ、エヴァ・メンデス、カイリー・ミノーグ、ミッシェル・ピコリ

提供:ユーロスペース、キングレコード
製作:2012年/フランス・ドイツ/フランス語/115分/DCP/カラー
配給:ユーロスペース

オフィシャル・サイト

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