UNZIP

Interview

『カラカラ』
クロード・ガニオン監督 インタビュー

interview & photo : yuki takeuchi

『Keiko』(79)でセンセーショナルなデビューを飾って以来、カナダと日本を舞台に意欲作を
発表し続けるクロード・ガニオン監督の最新作『カラカラ』が2013年1月に公開される。監督はどのようにして沖縄に行き着いたのか、どのようにして本作は生まれたのかなど話を聞いた。

『カラカラ』のあらすじ・レビューはこちら

—2012年モントリオール映画祭での「世界に開かれた視点賞」「観客賞」のダブル受賞おめでとうございます。

ありがとうございます。

—本作は監督の沖縄に対する思いや愛情が、とてもよく現れていると思いました。いま、監督は沖縄に住まれているとのことですが、何年くらいになりますか。

あちこちに行ったり来たりはしていますが、ほぼ3年になります。

—沖縄に住むことになったきっかけは?

もともと沖縄には興味がありました。最初に日本に来た70年代は、沖縄でいろいろありましたし、いろいろなことを聞きました。8〜9年前に、奥田瑛二さん、桃井かおりさん、内藤剛志さんで作った『リバイバル・ブルース』で1週間くらい沖縄での撮影がありました。物語のなかで奥田瑛二さんは沖縄に住んでいる設定でしたので。そのとき、ものすごくいい雰囲気でした。スタッフやキャスト、みんな親切で、あまり口には出さないけど、みんな好きでした。だから、ずっと考えていました。もう一回、最初から最後まで沖縄で映画を撮りたい、と。そのあいだに撮った『窯焚 -KAMATAKI-』のときは、最初は沖縄で撮るつもりでした。

けれどもリサーチしたら、ストーリーに”色”が合わなかった。映画としての色と景色は、信楽(滋賀県)の方がよかったので、信楽で撮りました。

3年前に友人が亡くなったのですが、そのときは、生活がしんどくなってきてしまって、6ヶ月くらいは仕事ができませんでした。そのとき、妻とプロデューサーの宮平貴子は、前作の宣伝のために日本に来ていた。モントリオールにひとりでいたけれども、どうしようもないので、妻と一緒に東京まで来ました。でも何もしませんでした。そのときに宣伝の関係で沖縄に行ったら、びっくりしました。ふつうは知らん顔するような人が「おはようございます」と挨拶をしてきた。印象としてはすごかった。こんなに親切な場所ならここに住みたいと思うほど。妻と貴子は東京に戻りましたが、僕はそれからもしばらく沖縄にいました。そして、そのまま住むようになりました。それは頭で決めませんでした、心で決めました。沖縄にいたら気持ちいい、だからここにいたい。映画人だから、どこに住んでいてもかまわないですし(笑)。

—沖縄に住みはじめてから本作『カラカラ』の脚本を書き始めたのですか?

最初はそういうつもりではありませんでした。『アンを探して』(2009年/宮平貴子監督、クロード・ガニオン製作総指揮)のために4ヶ月間の全国の旅に出ました。あちこちに行き、いろいろな映画館の人と会って、映画の話をしました。そして、僕の昔の映画をみんな知っていてびっくりしました。『Keiko』の30年前の古いポスターを出してきて「サインしてください」とか。そのときに、もう一本撮りたいと思いました。ただ何を撮りたいかは分かっていなかった。自分は日本人じゃない、もちろん沖縄人(うちなんちゅ)でもない、そこから、どんな映画とれるか、外人の俳優を使った方がいいだろうかなど考えました。

—そこから主人公であるピエールが生まれたのですね。

そうです。本当は最初、女性の映画にしたかったのですが…、ガブリエル・アルカンと一緒に仕事したかった。あと、ラブストーリーにはしたくなかったというのがあります。

—育った土地も文化も性格も違う2人が出会うという設定は、監督の経験からきているものなのですか?

それが、どこからきたのかは、ちょっと忘れてしまいました。映画のシナリオは1年間くらいかかるので。さきほども言ったように、友人が亡くなったという設定は、自分の経験からきていますが、最初は入れるつもりはありませんでした。自分のことはあまり話したくない。ピエールという人物は、僕とは全然違います。僕自身の人生はしたいことをしてきたし、後悔はしていない、振り返ることはない。一方、ピエールは子供や奥さんの問題などを抱えている。シナリオを書くときは頭ではなく体から始まります。ガブリエル・アルカンは個人的に知っていたので、”こんな人はどうだろう”というように考えました。彼がどう考えるかを、僕は決めたくないし、決められない。決めるのは、そのキャラクター自身が決める。ピエールの考え方であって、僕の考え方ではない。だから、純子も同じことです。工藤夕貴さんと一緒に仕事したかったが、なにも頼めないし、頼みたくない。こうしてほしいだとか、彼女はあのときどうするか、なぜそうするのかなど。このストーリーは、ふたりのストーリーだからです。あるところは僕の経験もあるけども、そうでないところもあります。ピエールが唄う歌は、僕の若いときの歌ですけどね。


© KARAKARA PARTNERS & ZUNO FILMS

『カラカラ』

1月19日(土)より新宿ピカデリーほか全国順次ロードショー!

監督・脚本:クロード・ガニオン
出演:ガブリエル・アルカン、工藤夕貴、富田めぐみ、あったゆういち
製作:『カラカラ』製作委員会
配給:ククルビジョン、ビターズ・エンド
日本・カナダ合作/104分

オフィシャル・サイト

レビューを読む

Related Items

クロード・ガニオン 監督作品

窯焚 KAMATAKI
Revival Blues
Keiko