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『夏の終り』完成披露試写会 舞台挨拶
満島ひかり 綾野剛/小林薫 熊切和嘉監督
8月14日 イイノホール

interview & photo : yuki takeuchi

2013年8月14日(月)、発売から50周年となる瀬戸内寂聴のロング・ベストセラー小説の映画化『夏の終り』の完成披露試写会が東京・千代田区のイイノホールにて行われた。物語の主人公・知子“が型染めの染色家”ということにならい、主演の満島ひかりさん、綾野剛さん、小林薫さん、熊切和嘉監督が、それぞれの希望にそって制作されたという世界に一つしかないオリジナルの浴衣で舞台挨拶に登壇した。

STORY
妻子ある年上の作家・慎吾と、長年一緒に暮らしている知子。慎吾は妻のいる家と知子の家を週にきっちり半々、行ったりきたりしている。妻と別れて欲しいと考えたこともなく、知子はこの平穏な生活に、自分が満足していると思っていた。しかしある日、木下涼太が訪ねてきて、知子の生活は微妙に狂い始める。涼太は、昔、知子が結婚していた頃、どうしようもなく恋に落ち、夫と子供を捨て駆け落ちをした男だった。知子は慎吾との生活を続けながら、涼太と再び関係を持ってしまう。そして涼太の知子を求める情熱はやがて、知子が心の底に仕舞い込み、自分自身も気づいていなかった本当の気持ちを揺さぶり起こしていく。

満島ひかりさんは、ふたりの男性のあいだでゆれる38歳の知子という役について、「難しい年代・役柄」だったが、熊切監督と「一緒に映画を作ってみたいという思いだけで、見切り発車してしまいました」と言う。また、撮影前に約1ヶ月かけて練習が行われた型染めの作業については、「型染めや彫りをする場面が、お芝居よりも面白かった」と述べた。

知子に恋人がいると知りながらも彼女を愛し、嫉妬に苦しむ涼太を演じた綾野剛さんは「悪い意味ではなく現場のことをあまり憶えていない」と言う。なぜなら「すごい現場だったので、非常に“ぐちゃー”とした状態で芝居をしていた」「よく分かっていない勇み足で発車しちゃったので“ぶぇー”って感じ」と擬音語を交えて撮影現場を表現し、監督に対しては「とても素敵なややこしい人」と説明。「“ぐちゃー”というものしか残っていないのですよ」と現場の雰囲気などを伝えながらも「試写を観たら、結構整頓されていて観やすくなっていた。整頓されることが必要だった思う」と言い、「観る人によっては、本当に“ぐちゃー”と感じる人もいるだろうし、全くライトに観れてしまう人もいると思うので、観る人、年齢によって全然違うと思います。楽しんでください」と述べた。

小林薫さんは、知子を愛して見守りながらも正妻とも別れることができない、優しいけどもちょっと狡い慎吾を演じたことに対して、「冥利につきるんじゃないですか。正妻がいながら愛人をもつというは、男の憧れみたいなところがありますから。そのへんは楽しんでやりました」と言うと、熊切監督は「小林さんが演じることによって憎めないキャラクターになった。本当はかなり狡い人だと思うのですけど…」と付け加えた。

また監督は、作品について「かつての日本映画が持っていた陰影の美しさみたいなものを、なんとか現代に蘇らせれないかなと思って頑張って作ったので、どうぞ最後まで堪能してください」と述べた。

「瀬戸内寂聴さんとお話しする機会があり、“自分は覚悟をもって、こういう恋愛に突き進んでいったんだ”と仰っていた」と、小林薫さんは述べ「今そういう覚悟みたいなものをもっている人ってなかなかいないのでは」とも言う。そして、本作に対して「いろいろな鏡になっていて、いろいろな受け取り方が出来ると思うので、楽しんで観てください」と述べた。

綾野剛さんは「ちゃんと時間が映っている作品だと思っています。とにかく撮影部と照明部のどこか挑みみたいなものも感じ取っていただけると思います」「いまから『夏の終り』を旅してきてください」と観客にメッセージを残した。

最後に、満島ひかりさんは「複雑な女心が、きっとたくさん繊細に映っている作品だと思います。男性には、もしかしたら理解されにくいかもしれない。自分の目の前にある悶々としたものを壊したくても、崩したくても、壊すことも、崩すこともできない。吐き出すこともできない。熱のこもった状態のまま、汗のかけない悶々とした女性ならではの生きづらさみたいなものが映っている作品だと思います。現場でも本当にもがいていました。監督たちにたくさん迷惑をかけたこともあるし、共演の人たちとも、もっとうまく関わりあえれば良かったと思うところもありますけど、とてもそれぞれ監督や俳優さんたちも撮影部も照明部も音響も美術部たちも、みんな迷いながらいいものを作ろうとしていました。職人みたいな人が集まったというよりは、アーティストな感じの人たちが集まっている現場だったので、はっきりしたものが掴めないまま前へ進んでいった感じはありますけど。なんだか風変わりな映画になっています。いまどきこんな映画をなぜ作ったんだと思うくらい…。でも、いい作品だと私は思います」と締めくくった。

『夏の終り』は、8月31日(土)有楽町スバル座 ほか全国ロードショー

『夏の終り』公式サイトはこちら


©2012年映画『夏の終り』製作委員会

『夏の終り』

8月31日(土)有楽町スバル座 ほか全国ロードショー

出演: 満島ひかり  綾野剛 /小林薫
監督:熊切和嘉 
脚本:宇治田隆史 
原作:「夏の終り」瀬戸内寂聴(新潮文庫刊)
上映時間:114分
配給:クロックワークス

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