text & photo : yuki takeuchi
1999年の『ロゼッタ』、2005年の『ある子供』で2度のカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞している巨匠ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督が、『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』『ダークナイト・ライジング』などに出演するマリオン・コティヤールを主演に迎えた最新作『サンドラの週末』が5月23日に公開される。公開を前にジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督が来日。3月25日(水)に都内にて来日記者会見が行われた。
『サンドラの週末』は、マリオン・コティヤール演じる主人公サンドラが、社会、仕事を通して人との関わりの中から、強く生きることを目指し、希望を探す数日間の物語。体調不良で休職していたサンドラは、仕事場に復帰する予定でいたが、ある金曜日、突然解雇を言い渡される。同僚のはからいで、週明けの月曜に投票を行い、同僚の過半数がボーナスをサンドラのために諦めてくれたら、仕事を続けられることになる。サンドラ、そして同僚たちは、自分のためか、仲間のためか、選択を迫られることに…。そして、家族に支えられながら、同僚たちを説得してまわるサンドラの週末がはじまる。
他人の立場になって考えることができるかどうか、自分に問いかける内的な対話を続ける旅をしてほしい
リュック・ダルデンヌ監督は、「映画作品に対して観客も作者同様に責任が生まれる」と語りはじめる。そして、サンドラというい主人公を、「他人に対して善悪の判断を下さない」「自分を支持してくれるかどうかでその人の善し悪しを決めない」「自分と他者の立場を理解できる人物」だと説明。そして「わたしたちが続けていくことは、人間のその複雑さ、その曖昧さのなかで、探索を続けていること」と述べ、観客にサンドラや彼女の同僚たちの立場になって、自分が考えることができるかどうか、自分に問いかける内的な対話を続ける旅をしてほしいと言う。
また、自身の体調不良から復帰するサンドラを、社会的に他者よりも弱い立場であるが、「それでも他の人々の意見を変えることができる、そして自分も変わることができる」のだと言い、本作を「弱さ、脆弱さに対する礼賛である」とジャン=リュック・ダルデンヌ監督監督は付け加える。
本作にて第87回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、世界各国の映画祭で数多くの主演女優賞を獲得したマリオン・コティヤールについては、「この映画に多くのものをもたらしてくれました」「女性として、女優として、他の人々に対して寛大である、気前のいい人です」とリュック・ダルデンヌ監督。数多くのメジャー作品にひっぱりだこの国際的な大女優にもかかわらず、他の出演やと全く同じ状況も受け入れてくれ、食事も毎回一緒だったと言う。また、撮影前には「わたしをあなたたちの思うようにして下さって結構です」と監督に述べ、監督の指示に応えるだけでなく、それを更に進めて試行錯誤する努力を惜しまず、「女優としての仕事をしていることが幸せであると感じ、しかも、仕事をする幸福感を他の人に向かって発することができる」「全てが素晴しい人」と評した。
そして、最後には「いつかもう一度彼女と仕事をすることになるかもしれません」と締めくくった。
5月23日 Bunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー !
『サンドラの週末』
http://www.bitters.co.jp/sandra/

© Les Films du Fleuve -Archipel 35 -Bim Distribuzione -Eyeworks -RTBF(Télévisions, belge) -France 2 Cinéma
『サンドラの週末』
(原題:deux jours, une nuit)
出演:マリオン・コティヤール、ファブリツィオ・ロンジォーネ
監督・脚本:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
2014年/ベルギー=フランス=イタリア/95分
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