text&photo : yuki takeuchi
クリエイトの瞬間がこの作品のなかには入っている

左から渋谷慶一郎(音楽) 杉本博司(出演) 中村祐子(監督)
1月17日、東京・竹橋の科学技術館サイエンスホールにて『はじまりの記憶 杉本博司』の完成披露試写が催され、監督の中村佑子に加え、出演の杉本博司、音楽の渋谷慶一郎が舞台挨拶を行った。
現代美術家として、写真、建築など様々な分野で世界に名を知られる杉本博司を追ったドキュメンタリー『はじまりの記憶 杉本博司』は、2010年にWOWOWにて放送され、2011年国際エミー賞のアート部門にもノミネートされたTVプログラムに、新たに撮影された部分を加えた劇場版。ニューヨークにある杉本博司のスタジオを中心に、世界各地で行われるの創作の現場に密着、また生い立ちとともに作家の素顔に迫り、杉本博司の"はじまり"を探る意欲作だ。
杉本博司は、映画版は今回が初見になるということで「杉本は材料にすぎない。料理され味付けされている。材料というのは一回殺されなければならない。非常に楽しみにしている。」と冗談まじりに語りはじめ、普段はカメラを向ける側だが、"向けられる側"になった今回の体験については、「200日密着されるとついつい本音を言ってしまう。」「非常にかっこいい面もあるのですけれど、自分の中でいろいろかっこわるいところもあるわけです。ですから、裏と表みたいなところいっぱいあって常に僕は冗談を言い続けているんですけども、そのような冗談は一切入っていないということで、杉本を美化した虚像だと思ってもらえればいいじゃないか。」を語った。すると、渋谷慶一郎と中村監督から「結構入っていますよ。」「今回は結構入っているんですよ、裏も表も。」と笑顔をまじえて補足された。中村監督は更に「結構、恥ずかしがっていらっしゃるのですけれども、私から観る杉本さんは、けっこう熱くて、こうやって冗談をたくさん言っていたのですけど、なにかを隠すために言っている部分もあったりするのかなと思うくらい。熱い部分は見せていただいた。」と話した。
渋谷慶一郎は、もともと(杉本作品の)Architectureシリーズが好きでその作品のコンセプトに着想を得て、「実態はぼやけるほど本質はわかる、というのをやったら面白いんじゃないか」「まったく思考というのがなくても音楽はできるんじゃないか、という実験だった」と音楽制作、コンセプトについて語った。また、完成披露試写の前日まで、制作をしていたという過密なスケジュールでもあったが、監督とのやり取りのなかで、良いものが出来たと付け加えた。
中村監督は、ギリギリまで楽曲制作をひっぱることになってしまったが、「目の前で生まれたすごく良い曲が、ラストに入ってる。」また、ニューヨークの撮影では、『放電場』(杉本博司の電気を使った作品)の創作現場に立ち会うこともでき、「(それぞれ)“クリエイトの瞬間”を間近で観させていただいて、それがこの作品のなかには入っている。是非楽しんでいただきたい。」と語った。
映画『はじまりの記憶 杉本博司』、3月31日から渋谷シアター・イメージフォーラムにて公開
オフィシャルサイト:http://sugimoto-movie.com/
展覧会「杉本博司 ハダカから被服へ」、3月31日から原美術館(東京・品川)にて開催
原美術館:http://www.haramuseum.or.jp/generalTop.html
著書「アートの起源」(新潮社)、1月18日に発売
新潮社:http://www.shinchosha.co.jp/
2012年3月31日(土)より 渋谷シアター・イメージフォーラムにてロードショー
『はじまりの記憶 杉本博司』
(2011年 / 日本 / 16:9 / HD / カラー / 81分 / ドルビー・デジタル)
監督:中村祐子 / 出演:杉本博司(現代美術家)、安藤忠雄(建築家)、(現代美術家)、野村萬斎(狂言師)、浅田彰(批評家) / 音楽:渋谷慶一郎
ナレーション:寺島しのぶ
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