[ザ・セル]

監督:ターセム/脚本:マーク・プロトセヴィッチ/キャスト:ジェニファー・ロペス、ヴィンス・ヴォーン、ヴィンセント・ドノフリオ他/2000年 アメリカ/109分/配給:R-15、ギャガ・ヒューマックス
2001年3月24日、丸の内プラゼール他全国松竹系にてロードショー

若き心理学者キャサリン・ディーン(J・ロペス)は、最先端の技術を使って分裂症の少年の精神世界に入り込んでいた。夢の砂漠の中で、少年の心を開こうとキャサリンは試みるが、穏やかな夢はやがて悪夢に変わり、少年は恐怖に心を閉ざしてしまう。一方、FBI捜査官ピーター・ノバック(V・ヴォーン)は、連続する若い女性殺人事件の犠牲者が再び出たという連絡に、現場に駆けつける。死因は水死、しかも遺体は前回同様真っ白く漂白されていた。異常殺人犯の犯行ペースは次第に速くなってきていて、新たに、若い女性が誘拐されたという連絡が入る。幸いにも手がかりがあり、カール・スターガー(V・ドノフリオ)という男性が浮かび上がる。だが、ノバックが自宅に行ったときには、スターガーは決して醒める事がない昏睡状態に陥っていた。キャサリンのいる研究所が最後の頼りとされ、ノバックは彼女に、手がかりを掴むためスターガーの精神世界にはいってほしいと依頼する。

現代人が誰しも抱えている“心の闇”を今まで誰も観た事がない大胆な発想と映像で表現している作品。監督は、TVCMやミュージック・クリップ・ビデオの世界で高い評価を得、“ヴィジュアル・モンスター”ぶりを遺憾なく発揮して本作の初監督にあたっているターセム。この監督と脚本家のマーク・プロトセヴィッチと組んで、このバーチャルな脳内世界を映像表現して見せたスタッフは、衣裳に『ドラキュラ』でオスカーに輝いた日本人アーティスト石岡瑛子、メイクアップに『恋愛小説家』などを手がけたミシェル・バーク、そして特殊効果の専門家で『インディペンデンス・デイ』などを手がけたクレイ・ピニーという3人のアカデミー賞受賞者と豪華な顔ぶれ。キャストも、主人公のキャサリンに、音楽方面でもすさまじい才能を発揮し、『アウト・オブ・サイト』で全世界を魅了し、本作が初主演となるジェニファー・ロペス、FBI捜査官ノバックには『サイコ』リメイク版や『クール・ドライ・プレイス』のヴィンス・ヴォーン、そして不気味な連続殺人犯スターガーには『フィーリング・ミネソタ』や『メン・イン・ブラック』のヴィンセント・ドノフリオが演じている。とても幻想的な映像と、CGを駆使した映像とがあいまって不思議な感覚の作品となっていて、衣裳デザインが幻想的な雰囲気をさらに盛り上げる効果を担っていることは言うまでもない。

Text : Yoshi Mizu

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