[シリアルラヴァー]

制作:フィリップ・ルセレ/監督:ジェームズ・ユット/脚本:ジェームズ・ユット、ロマン・ベルミトウ/脚色:ジェームズ・ユット、ロマン・ベルミトウ、ユゴー・ジャコメ/上映時間:85分/配給:クレストインターナショナル/1998年フランス
:『シリアルラヴァー』オフィシャルサイト

クレールは、ミステリー専門出版社の編集者。キャリア、お金、知性、美貌、彼女は何もかも持っている。だが、そんな彼女にこその贅沢な悩みがある。それは…。恋人を一人にしぼることが出来ないことだ。

そこで彼女は、35歳の誕生日に3人のボーイフレンドを自宅でのディナーに招き、最高の夫となるべき男を選ぶことにした。一人で住むには充分すぎるようなお洒落なアパートメントの一室、3人からの婚約指輪がずらりと並ぶテーブルで、そのディナーは始まった。血抜きしてない鴨肉、キレ味最高の包丁、大きすぎる冷蔵庫、凍るバスタブ、壁一面の鏡、棚の上のスケート靴。何もかも揃っているお洒落な部屋が、恐ろしい殺人現場にかわるとは! ドミノ倒しか底なし沼か、「こんなのあり〜っ!?」な展開で、あれよあれよと言う間に連続殺人犯なっちゃいましたっ。許してね、うっふん(笑)。

美女の悪夢をブッラクなユーモアと独創的な映像で見せる,新進気鋭のフレンチ・スプラッター・コメディ!


「モテモテ独身35歳女性の悲惨な晩餐」という副題が付いたフレンチ・コメディ「シリアル・ラヴァー」は、主人公クレールのこんなセリフから始まる。 「私もそろそろ結婚したいのよ。安定したいの。子供だって産みたいし、家庭ってものが欲しいのよ」と。30代半ばの女ゴコロって万国共通なのね〜っ。ってホッとしたとたん、思わず苦笑(笑)。

こんな複雑な女ゴコロってやつを、ブッラクユーモア満載の、しかもスプラッターにまで昇華させてしまったのは、歯科医の免許をも持つ男,ジェームズ・ユット監督だ。一時は医学の道へ進んだ彼だが、映画監督の夢を諦め切れずに転身。過去の短編2作品では数々の賞を受賞し、CM監督としても活躍している。そしてこの「シリアル・ラヴァー」を長編第一作として晴れて監督デビューした彼は、脚本・脚色をも自身が手がけ、その多才ぶりをいかんなく発揮!

この映画公開後はカルト的人気を集め、国外からは「フランスのモンティ・パイソン」と称されているのも頷ける。ブラック、シニカル、ユーモア、ナンセンス、オバカ、オマヌケ…どれももちろん彼を讃える褒め言葉だ。次回作はロビンフッドをモチーフにしているらしい…ってな噂だけでも何だか笑えてしまう。っていうか苦笑い(笑)。今から楽しみだ。

モテモテ美人キャリア(ついでにフェロモン)ウーマンを演じるのは、フランスのショービズ界では有名な実力派女優・ミシェル・ラロック。代表作「ぼくのバラ色の人生」では当惑する母親を熱演。世界的ヒットとなった。

子供の頃,縁日の出店で買ったキッチュなおもちゃやアクセサリー。駄菓子屋で(親に内緒で)買った安っぽいおやつの数々。そんなキッチュな物達へ向けた愛着心を、「シリアル・ラヴァー」にも向けずにいられない。

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