[A.I.]

監督・制作・脚本:スティーブン・スピルバーグ/出演:ハーレイ・ジョエル・オスメント、ジュード・ロウ、フランシス・オーコナー、サム・ロバーズ、ジェイク・トーマス、ブレンダン・グリーソン、ウィリアム・ハート/制作:キャスリーン・ケネディ、ボニー・カーティス/編集:マイケル・カーン/撮影:ヤヌス・カミンスキー/美術:リック・カーター/衣装:ボブ・リングウッド/ロボット特殊効果:スタン・ウィンストン/配給:ワーナー・ブラザース/2001年アメリカ
●6月30日(土)日米同時公開 丸の内ルーブル系&丸の内ピカデリー2系、全国松竹・東急系にてロードショー
:『A.I.』オフィシャルサイト


(C)2001 Waner Bros. & Dreamworks, LLC.
舞台は未来。人間の日常生活は監視され、人間に代わってロボットが雑用や労働をこなしていた。そんな中、主人公のデイビット(ハーレイ・ジョエル・オスメント)は、「愛する」という感情をインプットされた最初の少年型次世代ロボットとして誕生し、彼を開発したサイバートロニクス・マニュファクチャリング社の従業員(サム・ロバーズ)とその妻(フランシス・オーコナー)に引き取られる。彼らは不治の病に冒された実の子供を冷凍保存してあり、デイビットはその代わりだった。母親を永遠に愛し続けるようプログラムされたデイビットだったが、まもなく実の子供が最新の医学で生き返り、あっけなく捨てられてしまう。その時から、デイビットの恐怖とスリル、新しい発見に満ちた旅が始まった。道連れは、彼の遊び相手であり保護者でもあるスーパートイのテディと、旅の途中で知り合ったジゴロ・ロボットのジョー(ジュード・ロウ)。やがてその旅は、数千年という途方もない時を超えながら、壮大な感動の物語りとなっていく…。

冒頭で「人間型ロボット」が造られた経緯に疑問を持ってしまい、続くお定まりの虐めと悲しい展開に、始めはなかなか映画に入り込めなかった。
 しかし、主人公のデイビットの中盤からの冒険は、自分自身の冒険であるようなスリルを存分に感じることとなった。スピルバーグが「未知との遭遇」の脚本を書いた監督だとということを忘れてはいけない。つまり、あの痺れるような未知の領域へ踏み込む感覚を、油断している神経にビシビシぶつけられてしまうのだ。
 デイビット役のハーレイ・ジョエル・オスメント(『シックス・センス』『ペイ・フォワード 可能の王国』)が前評判と違ってロボットには見えなかったが、物語りに説得力を与えるに充分な演技だった。なんといっても、子供の持つ愛くるしさが起爆剤のようにここそこに埋め込まれていて、つい唸ってしまう。可能性や希望といったものの塊にみえる、つまり子供が子供としてそのものの価値を見せつけてくれる素晴らしい演技だった。
 ジョー役のジュード・ロウ(『スターリン・グラード』『リプリー』)についても絶対にはずすことができない。彼こそ本当にロボットとしか感じられなく、とんでもない存在感だった。ロボットとしての意志疎通を見事に表現しきっており、ロボットとして生まれ持った宿命をにじませるなんて誰にできるだろうか。『スターリン・グラード』では再三「自分の美しさなんてどうでもいい」とインタビュアーからの質問に答えていたが、確かに容貌の美しさだけではない、幅広い才能をもった実力者だ。

近未来の風景、もっと先の未来の風景…「あっ」と驚くような美術セットで、これだけでも鑑賞料のもとはとれるほど。技術、スタッフともに最高の域に達した「A.I」、感情を揺すぶられに劇場へどうぞ。

Text : ogura karuvi

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