[ロスト・ソウルズ]

監督:ヤヌス・カミンスキー/製作:ニーナ・R・サウドスキー、メグ・ライアン/脚本:ピアーズ・ガードナー/出演:ウィノナ・ライダー、ベン・チャップリン、ジョン・ハート、フィリップ・ベイカー・ホール/配給・提供:ギャガ・ヒューマックス共同配給/2000年/アメリカ/98分
:『ロスト・ソウルズ』オフィシャルサイト

カトリック教会の公認により、理由もなく自分の家族を皆殺しにした元数学教授ヘンリーの<悪魔払い>を行う、マヤ(ウィノナ・ライダー)ト司祭たち。失敗に終わった儀式にまぎれ、マヤはヘンリーが綴った謎の暗号文を密かに持ち帰った。膨大な量の暗号数字を解くうち、大いなる悪が復活するために宿る人間の存在が明らかになる。その名はピーター・ケルソン、彼の33歳の誕生日に魂と心が消え、その中に悪魔が宿るのだ。その頃ピーターは犯罪研究家のベストセラー作家として、凶悪犯罪者たちの心理探究に没頭する毎日を送っていた。彼は幼少時代、両親を何ものかに殺害された不幸な境遇から、叔父であるジェームズ神父に育てられた身の上を持つ。ピーターと接触するマヤ。事態を信じようとしないピーター。だが彼のまわりでは不可思議な現象が起こりはじめていた。聞こえない悪魔払いのテープ、隣人の謎の死、”X-E-S”の意味…二人がピーターの生い立ちの謎に気がついたとき、すでにピーターの魂が消える時は目の前に迫っていた…!

「シンドラーのリスト」「プライベート・ライアン」の撮影を手がけ、アカデミー最優秀撮影賞を取ったヤヌス・カミンスキーの初監督作品。新しい映画監督を発掘・サポートするプルフロック・ピクチャーズの設立者の1人である、メグ・ライアンが制作を担当しているのにも注目。  スリラーの楽しみを存分に感じさせる、さすがの映像感覚。同じ都市(ニューヨーク)でも、真実を知る前と知った後では、目の前が歪んでいくような錯覚を起こさせるのは見事。主役のウィノナ・ライダー、ベン・チャップリンもありきたりの恐怖の表現をことごとく避けているうまさだけでも見る価値あり。(美しさを消して、アウトローに徹しているウィノナ・ライダーに拍手!)難点と言えば、ストーリーを知っていても分かりにくい箇所があるところ。(たとえば、冒頭で悪魔払いをやるのは何故か、それが何をもって「失敗」したのか、何で数字で暗号が書かれているのか…とか)とは言え、キーとなる”X-E-S”の謎が解明される時のめまい感は真剣につり込まれていてこそ。「最近、”X-E-S”という文字の夢を見るんだ」「俺だったらそれが終わったら寝ちまうな」というジョークの答に気が付いた人は脚本の面白さがわかるはず!

Text:ogura karuvi

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