[姉のいた夏、いない夏。]

監督・脚本:アダム・ブルックス/製作:ジュリア・チャスマン、ニック・ウェクスラー、ティム・ヴァン・レリム/出演:キャメロン・ディアス、ジョーダナ・ブリュースター、クリストファー・エルクストン、カミーラ・ベル/配給・提供:ギャガ・コミュニケーションズ/2000年/アメリカ/93分 /7月 有楽町スバル座ほかにて公開予定
:『姉のいた夏、いない夏。』オフィシャルサイト

希望に満ちてヨーロッパへ旅立った姉は、遂に帰ってこなかった。あまりに突然で、あまりに思いがけない死の知らせ…それから7年、妹は姉の死に隠された真実を求め、彼女の足跡をたどる旅にでる。それはこの世から忘れさられた物語りを甦らせる旅、そして今の自分を卒業し、新しい自分に出会う旅。
1976年、高校を卒業したばかりのフィービー(ジョーダナ・ブリュースター)はサンフランシスコで母親と二人暮らし。彼女にはフェイスという姉(キャメロン・ディアス)がいたが、フィービーがまだ12歳だった7年前の夏、英国人の恋人ウルフ(クリストファー・エルクストン)と一緒にヨーロッパに行ったきり帰らぬ 人となった。明るく活発で、幼いフィービーを夢中にさせた姉の死は、彼女にとって永遠の謎だ。

母親の反対を押し切って、姉の足跡をたどる旅に出発したフィービーが知った、姉の真実とは…。

はじめに言ってしまうが、「泣ける」姉妹物語ではない。「妹と姉の絆」と謳っているが、この映画でそれに共感できるかもハッキリ言って怪しい。キャメロン・ディアス主演(妹役のジョーダナ・ブリュースターが主役)、キャッチーなポスターデザイン(映画のテーマと違う)、原題とかけ離れたタイトル(原題”invisible circus”!)…沢山の人に観てもらいたいのは当然だが、ちょっと戦略的要素がキツすぎで、劇場に出向いていって「思ってたのと違う」と感じさせるのはどうだろう。
ただ、この映画がツマラないと言っている訳ではない。姉妹の死、18歳の少女の成長など、古典的ともいえる題材で1976年を知らない世代でもグッとくる作りは感動的。幻想、対立、誤解が誰にとってどういった結末になるか…という内容に、共感と説得力を感じる。キャメロン・ディアスの輝き、冒頭のダンスの切なさ、ロードムービーとしてみる景色の美しさ、「見えないサーカス団」の幻想的なシーンなど良いところは枚挙に暇がないので、観る価値あり、と断言できる作品だ。

Text : karuvi ogura

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