[夏至]

監督/脚本:トラン・アン・ユン/撮影:リー・ピンビン/音楽:トン・タ・テイエ/出演:トラン・ヌ・イェン・ケー/グエン・ニュー・クイン/ゴー・クアン・ハイ、チャン・マイン・クオン/2000年フランス/ベトナム/配給:アスミック・エース、日本ビクター/2001年7月14日よりBunkamuraル・シネマで公開
:『夏至』オフィシャルサイト

母親の命日に集まった、スオン、カイン、リエンの3姉妹とその兄弟ハイ。3人の姉妹はとても仲が良く、何でも語り合い、分かち合っていた。しかし彼女たちは各々に、誰にも言えない心の秘密を抱えていた。長女にスオンはカフェの女主人。長年連れ添う夫と幼い息子がいたが、写 真家の夫には愛人と子供がおり、スオンもまた行きずりの青年と逢瀬を重ねていた。次女カインは新婚で、ライターの夫は処女小説を書き上げようとしていたが、最後の仕上げに行き詰る夫は、取材と称してホーチミンに出掛ける。三女のリエンはまだ学生で、敬愛する役者の卵の兄とふたりでアパート暮らし。最近恋人とはうまくいっていない。命日の酒宴で母の秘めた初恋の話が明かされた3人は、各々に母親の生き様を受け止めるが…。

「青いパパイヤの香り」、「シクロ」に続くトラン・アン・ユン監督の長編「夏至」は美しいハノイの街が舞台となっている。どこにもでもある日常と親子関係や夫婦、恋人や、兄弟姉妹関係の話しではあるが、ぐっと心に響くのはなぜなのだろうか。多分10代、20代ではこの気持ちは実感できないかもしれない。自分の親は常に正しいと思いたい子供の気持ちや、一見仲むつまじい夫婦、恋人達の駆け引き。人の内面 のドロドロとした葛藤が描かれているのだが、素晴らしくきれいな映像によってストーリーは進んでゆく。この映画の見どころは姉妹の美しさであろう。特に三人が髪を洗うシーンは甘美でうっとりしてしまいます。

Text : Fumiko Asada

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