[トゥームレイダー] LARA CROFT: TOMB RAIDER
2001年10月6日より日本劇場ほか全国東宝洋画系にてロードショー公開

監督・脚色:サイモン・ウエスト/プロデューサー:ローレンス・ゴードン、ロイド・レヴィン、コリン・ウィルソン/撮影監督:ピーター・メンジーズJr./プロダクション・デザイナー:カーク・ペトルッチェリ/衣裳デザイン:リンディ・ヘミング/出演:アンジェリーナ・ジョリー、ノア・テイラー、ダニエル・クレイグ、イアン・グレン、ジョン・ボイトほか/2001年アメリカ映画/1時間41分/配給:東宝東和/宣伝:メイジャー

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ロープに逆さにぶら下がって、ララ・クロフト(A・ジョリー)が登場する。腕利きのトレジャー・ハンターである彼女は、何故か最新型らしきガーディアン・ロボットと熾烈な闘いを繰り広げている。地下迷宮の財宝を守るこの大型戦闘メカ“ドロイド”は、実はララの相棒のクレイジーなプログラマー、ブライス(N・テイラー)の作品だ。つまりこれは、彼女の豪邸に設けられた模擬遺跡での実戦さながらの戦闘訓練なのだった。同じ頃、イタリア・ヴェニスでは、ピラミッドに一つ目の「全智の眼」マーク(フリーメイソン系だな)を掲げる秘密結社、イルミナーティの会合が行われていた。「5月15日は惑星直列の第一段階だ……“鍵”はまだ見つからないのか? 一週間以内にトライアングルの2つの破片を見つけろ」と命じられ、マンフレッド・パウエル(I・グレン)が「お任せを」と受ける。ウィンブルドンの豪邸で、執事のヒラリー(C・バリー)にお茶を出されても、浮かない顔のララ。実は彼女の父ヘンシングリー・クロフト卿(J・ボイト)が失踪したのはちょうど20年前の今日=5月15日だったのだ。その夜、ララは不思議な夢を見て目覚め、その夢に導かれて階段下のスペースから光が漏れているのを発見する。隠し部屋には不思議なアンティークの時計があり、どうやら突然動き出したようだ。ララは、83も部屋があるのに外のトレーラーハウスで寝起きしている変人ブライスを叩き起こし、内部にあった謎の星図盤を見つけ出す。

ロンドンの骨董品オークション会場にバイクを飛ばすララ。父の旧友を訪ねたのだが、彼は何かを隠したまま黙して語らない。うっかり“同業者”のアレックス(D・クレイグ)に捕まって、つい皮肉の応酬をしてしまうララ。「まだ報道写真家の振りを?」「アレックス、あなたもまだ考古学者の振りを?」とか……。弁護士を名乗るパウエルが彼女に接近し、その夜、ララの邸宅はプロらしき武装集団の襲撃を受ける-----大広間での大立ち回り、地下駐車場での死闘のかいもなく、星図盤は奪われてしまった。惨状露わな屋敷の掃除中に、宅急便が届く。父が失踪直前に書き、今日届くように手配したらしい手紙には、ブレイクの詩が引用されていた。父の隠しメッセージを読みとったララは、イルミナーティが時空の扉を開ける鍵となる「聖なるトライアングル」を探していることを知る。それは隕石の水晶物質から作られていて、5,OOO年前に古代都市スパイラル・シティを滅ぼすのに使用された後、2つに割られて地上のどこかに封印されたのだ。星図盤はその古代の秘宝への手がかりだった。すぐさま自前のコネクションを使ってカンボジアに飛ぶララ。ランドローバーごとジャングルの奥地に投下され、アンコールワット近くの遺跡でパウエルとアレックスのチームを見つけた彼女は、不思議な少女の導きで別ルートから地下迷宮への潜入に成功する。パウエル達に解けない複雑な謎を解いてみせたララだったが、遺跡の守護者達との死闘とイルミナーティの執拗な攻撃で負傷するララ。流れ着いた僧院で、父を知る僧侶の不思議な力で治療され、ヴェニスでパウエルと対峙した彼女は、父とイルミナーティの関係を聞かされ、もう一つのトライアングルの在処=シベリア奥地の古代の廃都への旅に同行することになる。5,000年に一度のグランド・クロスの日が近づく。時空を越える力を持つトライアングルがひとつになれば、イルミナーティは世界を支配するだろう。ララは彼らを出し抜くことができるのか? そして父の失踪の秘密を解くことができるのか? 世界の命運は、彼女の肩にかかっていた……!


まさに女性版『インディ・ジョーンズ』はたまた『スプリガン』ってな感じの痛快娯楽アクション・アドベンチャーである。「世界中に散らばる超古代文明の遺跡を探す」という擬似・考古学的ロマンが基本モチーフになっているけど、巻き込まれ型のインディと違って肉体派の展開なのがミソ。宙を飛び天井からぶら下がり、銃器をぶっ放し剣を振るい、バイクやジープや犬橇(!)を乗り回してアクティヴに駆け回るってな破天荒な景気の良さが持ち味なので、ハチャメチャな荒唐無稽さも笑って許しちゃうべきだろう。大金持ちで美人でダイナマイト・ボディで運動神経抜群で趣味は「墓荒らし=トームレイダー」……って設定がもうおバカさん(笑)。

ぴあでは「RPM(RPGみたいな映画)」って新語を提案してたけど、この映画のもとになったゲームはRPGではなく3Dアクションアドベンチャー・ゲーム。96年にパソコン用に登場した時は、粗いポリゴンのララ(当初はレイラと訳されたらしい)のアクの強いお姿がダメな人もいたけど、ゲームをやりこんだ熱狂的ファンに支持されて、あれよあれよと人気キャラに。人間以外で初めて雑誌FACEのカバーを飾り、某ロックバンドのライブではバックに登場。ひとまず全5作が作られて、世界中でシリーズ累計2400万本を売り上げた大ヒット・ゲームとなった。熊や恐竜や古代の化け物やゾンビと闘い、古代アトランティスの秘宝「シオンのかけら」を3つ揃えて人類浄化を目論む転生した古代人ナトラと対決する第1作、アフタヌーンティをトレイにのせた執事(笑)が初登場する第2作では「サイアンの短剣」を探してチベット他をうろつき(追加シナリオ「ゴールデン・マスク」も)、『トゥーム・レイダー3:アドベンチャー・オブ・ララ・クロフト』では4つの「マテリアル」を探究し、4作目『トゥーム・レイダー:ラスト・レベレーション(最後の黙示録)』では彼女の過去が描かれて再びエジプトへ。ひとまずのシリーズ完結編『トゥームレイダー5:クロニクル(年代記)』ではララの回顧録からスタートしてシリーズ・キャラ総登場ってな展開を見せ、ついに実写映画化と相成ったワケだ。ゲームの方も新シリーズを準備中で、映画も続編2本分はアンジェリーナ・ジョリー出演の承諾が取れているようだ。

そう、この映画の魅力は何といってもスーパーヒロイン、ララ・クロフトを演じるアンジェリーナ・ジョリーに尽きる。本作では、何だかお父さんのジョン・ボイトに似てきたのか、アクの強い面構えが強調された感もあるのだけど、やっぱりキャラの立ち方は見事だ。『17歳のカルテ』でアカデミー賞助演女優賞となった彼女だけど、『マイ・ハート、マイ・ラブ』『ボーン・コレクター』『狂っちゃいないぜ』『60セカンズ』と、どれも独特の魅力で共演者達を食う勢いを持ち、この秋日本公開の『ポワゾン』ではアントニオ・バンデラスと濃厚なベッド・シーンも披露してたりもする(ぜひ見比べよう!)。まさに今が旬の注目すべき女優さんと言えるだろう。本作では体当たりのアクション・シーン満載で、寝間着でバイク・スタントしたり、屋敷の大広間でバンジー・アクションを披露したりと大忙し。ぶら下がり技が多いんだけど、なかなかどうして絵になってる! アンジェリーナ・ジョリーの実の父親であるジョン・ボイト(『暴走機関車』『エネミー・オブ・アメリカ』『バーシティ・ブルース』など)との競演もあるゾ。監督は『コンエアー』『将軍の娘/エリザベス・キャンベル』のサイモン・ウェストだ。ゲームでララが好きだという設定になってるU2やナイン・インチ・ネイルズをはじめ、ケミカル・ブラザーズなどの音楽もいいッス。

Text : 梶浦秀麿


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