[シュレック] SHREK
2001年12月15日日劇プラザほか全国東宝洋画系にて公開

製作:ジェフリー・カッツェンバーグほか/監督:アンドリュー・アダムソン、ヴィッキー・ジェンソン/声の出演:マイク・マイヤーズ、キャメロン・ディアス、エディ・マーフィ、ジョン・リスゴーほか(2001年/アメリカ/ドリームワークス作品/1時間31分/配給:UIP)

→ 監督 A・アダムソン、制作 J・カッツェンバーグ来日記者会見レポート

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人里離れた森の中にある沼のほとりに、ひっそりと孤独に暮らす大男がいた。彼の名は“シュレック”。恐ろしい姿とは裏腹に優しい心を持っていたが、村人たちは「人の骨を粉にしてパンにする」と噂して恐れていた。ある日、シュレック(マイク・マイヤーズ)の住む沼におとぎ話のキャラクター達が大挙してやってきた。彼等は横暴な支配者、ファークアード卿(ジョン・リスゴー)によって追放され、住む場所を失ったのだ。しかし孤独に暮らしたいシュレックにとっては迷惑もいいところ。再び静かな森を取り戻すため、おしゃべりなロバのドンキー(エディ・マーフィ)と共にファークアード卿に掛け合いに出掛けた。ファークアード卿はパーフェクトな王国を作り、王になろうと躍起になっていた。そのためにはプリンセスと結婚しなくてはならないのだが肝心の相手がいない。そこで、魔法の鏡が教えてくれた3人のプリンセス、シンデレラ、白雪姫、フィオナ姫の中から彼が妃に選んだのは、ドラゴンの城に囚われているフィオナ姫(キャメロン・ディアス)。早速、姫を自分の元に迎えるために強者を集めるが、偶然そこに現われたシュレック達に倒されてしまった。機転をきかせたファークアード卿は、「プリンセスを連れてくることが出来れば、おとぎ話のキャラ達を返し、元の平穏な暮らしを約束する」とシュレックに告げる。こうしてシュレックとドンキーの旅が始まった…。

おとぎ話のお姫様が悪い魔法をかけられ、白馬の王子様が助けに来る日を待っている…おとぎ話の約束事である。しかし「シュレック」のフィオナ姫はそんな今までのお姫様達とはちょっと違う。ドラゴンの城の高い塔に閉じ込められているが、それは彼女自身が選んだ事でもあるのだ。なぜなら王子様が助けに来てくれるためには、塔に閉じ込められていなくてはならないのだから。そしてそれは「本当の自分の姿」を見つけるため。ずいぶん長い間1人で塔に閉じこもっていたからか、自分の身を守る術としてカンフーまで会得している。そんなお姫様はみた事がない。シュレックもまた然り。この映画のヒーローは不細工な緑の怪物なのだ。自分の姿にコンプレックスを持ち、外見のために自分を恐れる人々を遠ざけて暮らしている。人とふれ合って傷付くことよりも孤独を選んだのだが、本当はちょっと寂しい。おとぎ話の登場人物でありながら、実に人間らしいキャラクターなのである。そしてそれ故に、彼等は魅力的でもある。「シュレック」はわかりやすい話の様に見えて、実に考えさせられるところの多い作品。だけど同時に「アハハ!」と笑い、「面白かったね」と言って劇場を後にできる作品でもある。子供が観ても、大人が観ても、違った楽しみを見つけられるだろう。

Text : nakamura [UNZIP]

ディズニー映画にはないひねりの笑いと小ネタが満載の「シュレック」。この映画を観終わった私は「こういう映画って大好き」と感激。最初はシュレックの行動に目を覆いたくなる場面もあったが、すぐにスクリーンに釘付け状態に。そして、最後は心温まるホットな時間を過ごせたことに幸せを。最近、ディズニー映画を観て、なんであんな微妙な動きをするの、と疑問を感じていたところで、そんな自分にはファンタジーが理解できないのかなと少し落ち込んでいた。しかし「シュレック」はすごく面白く理解でき、最近の私の中ではNO.1にランクイン。特に、プリンセス・フィオナの冷めっぷり。今までのお姫さまと言えば、清く正しく優しい皆のアイドル的存在。そんなお姫さまを迎えにくるのが、白馬に乗った王子さま。そして、そんなストーリーに夢を…。といったところがお決まりの流れだった。しかし、現実には全くそんなことは起こり得ないし、起こったとしてもごく一部の限られた人たちにだけ。「シュレック」は、完璧でないプリセス・フィオナと武蔵丸似のシュレックということで、ストーリー的にもキャラクター的にもかなり共感できるものがある。かつ“美しさとは内面の問題”であり“ありのままの自分を受け入れる”といった大切なことにも気付かせてくれる。私は、現代のシンデレラ・ストーリーはこうあるべきだなと勝手に思っている。

Text : imafuku [UNZIP]


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