[息子の部屋]
2002年1月19日より丸の内ピカデリー2他、全国松竹系にてロードショー

監督・出演・脚本:ナンニ・モレッティ /出演:ラウラ・モランテ、ジャスミン・トリンカ、ジュゼッペ・サンフェリーチェ、シルビオ・オルランド(2001年/イタリア映画/1時間39分/配給:ワーナー・ブラザース)

→ナンニ・モレッティ監督来日記者会見レポート



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精神分析医ジョバンニ(ナンニ・モレッティ)は突然の事故で息子のアンドレア(ジュゼッペ・サンフィリーチェ)を失う。残された彼は、妻、娘とともに、悲しみと後悔にさいなまれる。そんなある日、息子に、夏休みのキャンプで知り合ったガールフレンドがいたことがわかる。子供だとばかり思っていた息子が、家族の知らないところで、恋をしていたことを知る。訪ねてきたガールフレンドと悲しみを分かち合ううちに、悲劇に耐えかねてばらばらになりかけていた家族に変化が起こる。彼女が持っていた写真こそが、自分の部屋でひとりくつろぐ息子の姿だったのだ。家族の知らなかった息子の人生の一部を垣間見ることにより、悲しみを乗り越え、家族は再生されていく。

オイオイ泣けるシーンを期待して観た本作であるが、意外にも泣けるシーンはない。映画は淡々と進行し、しんみりとそしてじわじわと感動が押し寄せる。家族であっても他人、そして人は様々な顔を持っているということ。頭ではわかっていながら、実際、遭遇しないと忘れていたことが、この家族にとって、助けとなる。人が悲しみから立ち直る時、実際は、想像しているよりもはるかに小さな出来事がきっかけとなりうるのだろう。そしてラストシーンでブライアン・イーノの名曲「バイ・ディス・リバー」が流れることによって、しんみり感はクライマックスに達する。正直、この映画の“生きている時は、開けてはいけないドアでした”という謎めいた文句に惹かれて観に行った映画であるが、思っていたよりも単調な流れであり、泣ける映画を観たかった私にとって、少々ものたりなかったのが本心である。

Text : imafuku [UNZIP]

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