[ラッキー・ブレイク] Lucky Break
2002年夏休みシャンテ・シネ他全国ロードショー

監督:ピーター・カッタネオ/製作:バーナビー・トンプソン、ピーター・カッタネオ/脚本:ローナン・ベネット/音楽:アン・ダドリー/衣装:フィオン・エリノア/出演:ジェイムズ・ネズヒット、オリヴィア・ウィリアムス、クリストファー・プラマー、ティモシー・スポールほか(2001 年イギリス/108分/配給:アミューズ・ピクチャーズ)

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(C)Film Four MMI
主人公のジミー(ジェームズ・ネズビット)と相棒のルディ(レニー・ジェームズ)はショボい泥棒。ある日二人は銀行を襲うが、間抜けなミスをしてあっさり御用となる。収容されたのはなかなかのクセ者揃いの刑務所。所長(クリストファー・プラマー)はかなりのミュージカルおたくである。所長は受刑者更正プログラムの一環として自ら書き上げたミュージカルを囚人達に演じさせてはどうかと考え、主役にジミーを抜擢する。相手役には美人で知的なカウンセラー、アナベル(オリヴィア・ウィリアムス)が選ばれた。ノリノリで練習に励む囚人達。実はその裏で、ミュージカルの公演を利用した脱走計画が進行しているのだが、そこに底意地の悪い看守やボス格の囚人の思惑が絡み合い、おまけにジミーとアナベルは恋に落ちてしまったからさあ、大変! 愛か、脱走か。運命の幕が上がる!!

アカデミー賞4部門ノミネート1部門受賞の『フル・モンティ』から5年。ピーター・カッタネオ監督が放つ期待の最新作『ラッキー・ブレイク』。刑務所を舞台にした囚人達の脱走計画をテンポよく描いたコメディなのだが、そこにロマンスや、熱い友情をからめ、ハートウォーミングな仕上がりになっている。登場人物はみなかなりキャラが立っているのだが、それぞれがそれぞれをジャマすることなくストーリーを盛り上げているんですね〜。

ジミー役のジェ−ムズ・ネズビット、コメディなのに表情を抑えた演技が印象的。だが、どうも井上順がチラつくんだな〜。似てるよな〜。青々としたヒゲ剃り跡もイイ感じ(?)なのである。ジミーと恋に落ちてしまう美貌のカウンセラー、アナベル役のオリヴィア・ウィリアムスは道ならぬ恋にとまどう微妙な女心を上手く表現している。相棒のルディ(レニー・ジェームズ)は黒人だけに歌が上手そうだとニラんでいたのだが、期待通りのイイ声だった。歌の出だしを必ず間違えるヤツがいたり、そんなお約束の数々も個人的には結構好きなポイント。思わずニヤリと笑ってしまうのであった。当然、演技など無縁の生活をしてきた囚人達は役づくりに苦労する。しかし実は彼らはこれまで幾度も「無実のフリ」という芝居をしてきた演技の名(迷?)人なのである。なるほど!と悟り(?)を開く囚人達。悟りを開いた結果はミュージカルシーンを見ていただきたい…。

そう、そしてお約束と言えば、刑務所モノには欠かす事の出来ない看守のイジメ。看守にイジメ抜かれる囚人クリフ(ティモシー・スポール)はコメディ映画なのに救いのない役どころ。イヤーな看守のペリー(ロン・クック)は性格は悪いのだけれど、職務には忠実な男である。それとは対照的なのが所長(クリストファー・プラマー)である。彼はミュージカルバカなので基本的に何も考えていない。いわばミスター長嶋のようなものか。総てにおいて「知らぬは所長ばかりなり」なのである。

実はジミーとルディの間には逮捕の際生じた確執があり、それが伏線となってジミーは愛か、友情か?の選択を迫られる事になるのだが、この確執にもきっちりとケリをつけているので後味も良い。ジェームス・ネズビットが井上順に見えても気にせず物語に集中しよう。「ええ話や〜。」となること請け合いです。

Text:でこ助

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