[Dolls〈ドールズ〉]
10月12日より丸の内ピカデリー2ほか全国松竹系にて絶賛公開中!

監督・脚本:北野武/撮影:柳島克己/音楽:久石譲/衣裳:山本耀司/出演:菅野美穂、西島秀俊、三橋達也、松原智恵子、深田恭子ほか
(2002年/日本/1時間53分/配給:松竹、オフィス北野)

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(C)2002 Office Kitano
【STORY】
満開の桜の下。赤い紐がずるずると引きずられていく。その先には、お互いの身体を紐で結びつけている男と女。「つながり乞食!」子供たちにからかわれるふたりを見つめる人々の中に、かつての同僚の顔もあった…。かつて人もうらやむカップルだった松本(西島秀俊)と佐和子(菅野美穂)。結婚の約束もしていたが、松本は佐和子を捨てた。突然舞い込んだ社長令嬢との縁談に顔色を変えた両親に、強引に説得されてしまったのだ。社長令嬢との挙式当日、松本は佐和子の近況を知らされる。彼女は自殺未遂の末に精神のバランスを崩し過去の記憶を全て失ってしまったのだ。松本は式場を抜け出し病院へと駆けつける。走る車の窓から投げ捨てられる携帯電話。取り残された花嫁からのコールが鳴っている。佐和子は虚ろな表情のまま、松本の顔を見ても何の反応も示さない。そんな彼女を無断で連れ出してしまう松本。手持ちの金は尽きるが、実家にも、会社にもいまさら顔向けできない。有料道路のパーキングエリアに停めた車の中で、ふたりきりで何カ月かを過ごす。佐和子は目を離すとどこへ行ってしまうかわからない。やむなく身体を紐で結んだ。縛られていることさえわからずにいる佐和子を松本は抱きしめる。「ごめんな」という言葉もいまの佐和子の心に届かない。ふたりは行くあてもなく、とぼとぼと歩き出した。


【REVIEW】
「素晴らしい!」この一言に尽きる作品だ。まずは、日本を舞台に四季折々の情景をいろいろな色彩で表現している点。そして、それをさらに引き立たせた数々の衣装達。そう、あの個性的な衣裳は山本耀司デザインのものである。そして、ストーリーにはいくつもの伏線が用意されており、それがわかった時の瞬間ときたら「嬉しさ混じりの悲しさ」とでも言うのであろうか!? とにかく、にくい演出である。もう、あれこれ私が語るよりも、北野武が言う「残酷で、美しい」を劇場で感じてもらいたい! 失ったものの大切さをいろいろな視点で考えさせてくれる奥深い映画だ。

Text:ツッツー

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