[ホワイト・オランダー] White Oleander
2003年2月15日よりみゆき座ほか全国東宝洋画系にてロードショー

監督:ピーター・コズミンスキー/脚本:メリー・アグネス・ドナヒュー/原作:ジャネット・フィッチ/出演:ミシル・ファイファー、アリソン・ローマン、レニー・ゼルウィガー、ロビン・ライト・ペン、ビリー・コノリー他
(2002年/アメリカ映画/109分/ギャガ・ヒューマックス共同配給)

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【STORY】
強烈で独善的だが、美しくカリスマ性を持つアーティストである母イングリッド(ミシェル・ファイファー)が、恋人殺しの罪で逮捕された。まだ15歳のアストリッド(アリソン・ローマン)は次々と3人の里親の元を渡り歩くことになる。孤児を育てることで過去の罪滅ぼしをしている元ストリッパー(ロビン・ライト・ペン)、美しく愛情深いが、夫に構ってもらえない寂しさの埋め合わせのために里親になった女優(レニー・ゼルウィガー)、孤児を従業員のように扱い働かせるロシア移民女性。彼女たちの苦しみを理解する過程で愛にも様々なかたちがあることを学んだアストリッドは、“自分を見失わず、他人に心を許すな”と自分の人生を独善的な価値観で縛り付けている母親に反発を覚え、「解放する愛」を示してくれることを求めるようになる。そんな少女と、彼女に強い影響を与え続けた母親が織りなす愛と葛藤を、繊細なまなざしでみつめた心に刺さるヒューマンドラマ。

【REVIEW】
タイトルのホワイト・オランダーとは 夾竹桃(きょうちくとう)。美しい花でありながらも、外敵から身を守るために自ら毒を放つ危険な花。第2次大戦後の翌年夏、広島で一番最初に咲いた花がこの夾竹桃だったという記録が残っている。原作はジャネット・フィッチの小説、全米で150万部以上の売り上げを記録するベストセラーとなり、オランダ、イギリスをはじめとする世界25カ国で翻訳が出版されている。「大人になることは、自分の親が完璧な人間ではないと知ること」という普遍的なテーマを持つこの作品は、見るものの心の深いところを揺さぶり、観終わった後、呆然とさせられた。私の中で、一番印象に残っているのが、レニー・ゼルウィガー演じるクレアである。彼女は弱さと強さの両面をもっており、繊細で傷つきやすく、愛情深い女性であった。しかし、自分というものを見失っており、最後には悲劇的結末が待っていた。そんなクレアの切ない瞳や顔の表情、おっとりとした話し方に孤独感がにじみでており、切なさを感じずにはいられなかった。母と娘、男と女には、いろいろな愛の形が存在し、どうしようもないことでも前向きに乗り越えていかなければならないことを教えてくれる作品ではないでしょうか。

Text:imafuku [UNZIP]

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