[アバウト・シュミット] ABOUT SCHMIDT
2003年5月24日(土)より、みゆき座他全国東宝洋画系にてロードショー

監督:アレクサンダー・ペイン/脚本:アレクサンダー・ペイン&ジム・テイラー/原作:ルイス・ビグレー著「アバウト・シュミット」/出演:ジャック・ニコルソン、キャシー・ベイツ、ダーモット・マルロニー、ホープ・デイヴィス他
(2002年/アメリカ/125分/ギャガ・ヒューマックス共同配給)

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【STORY】
ウォーレン・シュミット(ジャック・ニコルソン)66歳。一流保険会社で計理士として働き、良き同僚を持ち、それなりにキャリアを積んだ。42年間連れ添った妻と溺愛する一人娘ジーニー。平凡だが、悪くない人生だ。そして今日、定年退職の日を迎える。幼い頃に抱いた夢からは遠いけれど、男としてそれなりのものを築いてきたと自負していた。ところが退職後の彼に、妻との永遠の別れ、娘の結婚…と次々と転機が訪れる。初めて深い孤独に気付いたシュミットは、妻と旅行するために(妻が)買ったキャンピングカーに乗り込むが…。

【REVIEW】
ジャック・ニコルソンがごくごく普通の、どこにでもいそうなさえない男を演じる(ジャージ姿に落ち武者みたいな乱れ髪の情けない姿が逆に新鮮!)。孤独な定年退職者が人生を見つめ直すドラマ、なんていうと、なんだかしみじみとした暗い話になりそうなところだが、ただものではないジャック・ニコルソンのこと。このシュミットを、皮肉っぽさや勘違いっぷり、そのネガティブ・シンキングが哀れだけど笑える、愛すべきキャラクターとしている。定年退職者のロード・ムービーが、こんなにも面白くていいのだろうか。

ある日、TVでみたチャリティ団体に寄付し、アフリカの恵まれない少年のスポンサーになったシュミット。彼の本音は、この少年への手紙という形で語られる。6歳 の子に向かって、妻への不満やら退職した会社の新任者の悪口やら…延々と語り続ける様子が面白い。平凡な男として、66年も生きてきたのである。大きな転機が訪れようと、人間はそんなに簡単には変わらない。その凡人っぷりがまた面白いのだ。

『アバウト・シュミット』は、さりげないけど気のきいた秀作コメディ。最後にクスッと笑って「いい映画だったな」と思える作品だ。

Text:nakamura [UNZIP]


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