PUNCH-DRUNK LOVE
『ブギーナイツ』『マグノリア』のポール・トーマス・アンダーソン監督が“アダム・サンドラーのために書いた”パンチの効いたピュアなラブストーリー

REVIEW:
アダム・サンドラーはTVの「サタデー・ナイト・ライブ」出身。アメリカでは『ビッグ・ダディ』『リトル★ニッキー 』などが大ヒットしているコメディ俳優だ。日本人にはあまり受けないアメリカン・コメディへの出演が続いたためか、まだ知名度は高くないが、本作でその評価が変わるのではないだろうか。

サンドラー演じる主人公のバリーは、気が弱くて癇癪持ち。キレて窓ガラスをハンマーで叩き割ったり、かと思えば突然泣き出してしまったり。食品会社の“お得なマイレージ・キャンペーン”に目を付けてプリンを大量に買い込み、プリンでマイルを貯めて旅行に行こうとする、ちょっと変わったところもある。(信じられない話だが、12,000個のプリンで125万マイルを貯めた“プリン男”は実在するらしく、バリーのモデルになっている。)そんな彼が、ありのままの自分を受け入れてくれる女性リナと出会い、恋に落ちる。恋をして成長して行くバリーの姿はとてもキュート。ひたすら走り回って(実際にバリーはスクリーンの中を走る、走る!)時に空回りしながらも頑張ってしまう彼と、そんな彼を大きな心で見守るリナ。バリーの「一生に一度の恋なんだ」という台詞には、思わずぎゅっと心を掴まれてしまった。

ポール・トーマス・アンダーソンと言えば、その作品中で音楽が非常に重要な役割を果たすことでも知られるが、本作では『マグノリア』の音楽を担当したジョン・ブライオンと再びコンビを組んでいる。「映画音楽」というよりも「サウンド・デザイン」的な効果音の使い方、選曲、どこをとってもパーフェクト(好みがわかれるところではあるが)。まるでよく出来たミュージカルかPVの様でもある。バリーの心の波を表すような、ジェレミー・ブレイクによるアートワークや、絶妙に計算された映像も素晴らしい。天才と呼ばれる監督の技を堪能できる作品、観終わった気分は爽快だ。

Text:nakamura [UNZIP]

Copyright © 2003 UNZIP.
『パンチドランク・ラブ』
2003年7月26日より恵比須ガーデンシネマにてロー
(2002年/アメリカ映画/1時間35分/配給:東宝東和)


CAST&CREW:
脚本・監督:ポール・トーマス・アンダーソン
製作:ジョアン・セラー、ダニエル・ルピ、ポール・トーマス・アンダーソン
撮影監督:ロバート・エルスウィット
アートワーク:ジェレミー・ブレイク
出演:アダム・サンドラー、エミリー・ワトソン、ルイス・ガスマン、メアリー・リン・ライスカブ、フィリップ・シーモア・ホフマン他


REVIEWER:
nakamura [UNZIP]

EXTERNAL LINK:
『パンチドランク・ラブ』公式サイト

DVD:
cover パンチドランク・ラブ (PUNCH-DRUNK LOVE)