『トゥームレイダー2』
アンジェリーナ・ジョリー&ヤン・デ・ボン監督 来日記者会見


9月1日(月)、『トゥームレイダー2』の公開に先駆け、ヒロイン“ララ・クロフト”を演じるアンジェリーナ・ジョリーと、ヤン・デ・ボン監督が来日し、都内で記者会見を行った。

1作目でも来日をしたアンジェリーナ・ジョリーだが、前回のTシャツにジーンズというラフな格好とは対照的に、パンツ・トップとも黒で装い、女優だけではなく母親としての雰囲気を漂わせている。ヤン・デ・ボン監督は終始にこやかに、数々のアクション大作を手がけたとは思えないほど物腰も柔らかく対応していた。


『トゥームレイダー2』
監督:ヤン・デ・ボン/出演:アンジェリーナ・ジョリー、ジェラルド・バトラー、シアラン・ハインズ他
(2003年/アメリカ/1時間57分/配給:東宝東和)
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また日本に来られて嬉しく思います。毎回のことですが、自分の新作を携えて来るのが本当に楽しみです。特に日本にはララ・クロフトのファンの方が大勢いると聞いているので、この上無く嬉しいですね。



また日本に帰ってこれて嬉しく思っています。招待してくれてどうもありがとう。今回は息子も連れてきていて、一緒に遊園地に行ったりして楽しく過ごしています。

Q:ハードな撮影に向かうため、スタッフやキャストのモチベーションを維持する秘訣はなんでしょうか?



スタッフの集中力を維持する秘訣は、世界中の素敵なところにロケに行かせることです。本作では3つの大陸をまわり、眺めが美しい場所を撮影することが出来たので、スタッフも喜んで撮影に集中してくれました。皆さんご存じのように、ララの役は肉体的にハードな役です。アンジェリーナは日頃からシェイプアップをしているのでまったく心配はありませんでした。でも、こういったアクションアドベンチャーといったジャンルは決して軽視してはいけないと思っています。演技力も大切ですし体力的にハードです。そういった意味でも彼女は素晴らしい女優で、まじめにこのジャンルをとらえ、プロ意識を持って献身的に取り組んでもらえました。

Q:母親になられて、ハードな撮影に取り組むときの気持ちに変化はありましたか?



母親になったことで、私の人生はいろいろな面で変わりました。スタントに対するアプローチも子供のためにより注意深くならなければいけないのですが、子供が大きくなったらきっとこの映画を観ると思うので、その時に母親の私を誇りに思えるよう、もっと頑張ろうという思いも生まれました。

Q:国連での活動に力を注いでいますが、それが俳優として、あるいは人間としての自分にどのような影響を与えているのでしょうか?



国連での活動は私の人生に大きな影響を与えてくれています。3年間、大陸のいろいろな場所を回り、どんな小さなことにも感謝の気持ちが生まれることを学びました。例えば息子が健康であること、家族が安全に暮らしていることがどんなに大切なことかを知りました。今の世の中には悲しく恐ろしいことが満ち溢れています。それを考えると、文句も不平も言えません。ですから、単なる俳優というだけでなく、世の中のために何かをしているという目的意識が私のなかに芽生えたし、自分に対しても生き甲斐を感じています。

Q:今回の撮影で印象に残った場所や撮影のエピソードを教えてください



前作でカンボジアに行って、それ以来私にとって特別な国になっています。今回はアフリカでロケをして、映画に出ている現地の部族の人たちと知り合いになりました。彼らはもちろん映画を知らないので、「向こうの方から悪人が来るので怖がらなくてはいけない」と指導しても、そういった“フリ”をすることを知りませんから、彼らにしてみると、逆に“フリ”の演技をする私たちや監督が逆にバカに見えてしまって、お互いに笑いが起こりましたね。

Q:この映画の一番の見所はどこですか?



私もアフリカでの撮影はとても印象に残っています。神々の山と呼ばれる場所の1万メートルもあるような山頂で撮影をしたのですが、急に天候が悪くなって下山することになったんです。役者たちはどうにか降りることが出来ましたが、スタッフたちは降りることが出来ず、現地の人にキャンプファイヤーの仕方など、色々と教わって過ごしたことが思い出深いですね。そして、この映画の見所は、やはり何といっても香港にある世界で3番目に高いビルから、ララたちが飛び降りるシーンです。シルクのパラシュートのようなものを付けて飛ぶのですが、これはスウェーデン人の男性二人が編み出した方法で、考案者を呼んで実際に飛んでもらいました。まさに香港の上空を人間が飛ぶシーンで、見応えがあると思います。CG合成などは一切使っていませんし、動いているボートに着陸するシーンまで実写で撮りました。



私はものすごくやりたかったのよ!お願いしたんだけどね。



彼女はスカイダイビングの経験もあったけど、あまりにも危険なのでやめてくれってお願いしました(笑)。

Q:一番エキサイティングなシーンは何でしたか?



一番エキサイティングだったシーンは、崖から逆さまになって落ちるシーンね。でも一番難しかったのは乗馬のシーンです。横座りしながらライフルを扱っているので、何度も振り落とされそうになりました。



私が一番印象に残っているアクションシーンで、さすが女優だと感心したのは、彼女も話した崖からロープで逆さ吊りになって落ちるシーンです。あれは本当に肉体的にハードだったと思います。撮影には2日かかって、長い時間逆さ吊りの状態で過ごしたのですから、私だったら100万年かかっても無理ですね。落ちながら演技もするわけですから、感心してしまいます。でも、平衡感覚を失って、テリー役のジェラルドは何度かララを撃ち殺していましたよ(笑)

Q:ハードな撮影に取り組むためにしたトレーニングや普段からしているエクササイズを教えてください。



前作同様、今回も撮影に必要な技を学ぶために2ヵ月半のトレーニングをしました。ウェイト・トレーニングで体を鍛え、ジェット・スキーや剣道など新しいものに挑戦し、新しい武器の扱い方も学びました。普段はエクササイズはしませんね。ヘルシーな食生活をして、2歳の息子の世話をしているだけで十分なんです。

Q:この作品を監督したいと思った理由を教えてください。




この映画をぜひ撮りたいと思った大きな理由は、ヒロインが大好きだからです。私は前から女性が主人公のアクション映画を撮りたいと思っていたのですが、どこのスタジオも脚本を持っていないんです。男優と同じレベルのことが女優でもアクション映画の中で出来ると思っていますし、主人公が女性でも楽しめると確信を持っていたんです。でも、スタジオは主人公が女性だと成功しないと思っているんです。だからこそ主人公に女性を据えたスリリングで美しく、セクシーで感動できるアクションを撮りたかったんです。

Q:監督の映像へのこだわりを教えてください




監督は僕も含めみんなそれぞれのビジュアル・スタイルを持っています。ある作品の撮影を開始し公開されるまで約1年ほどありますが、その間に公開された作品の中に同じようなアクションシーンがあったら元も子もなくなってしまうので、そういったことを意識しながらオリジナル性を重視します。とにかく今撮影しているシーンが1 年後でもオリジナルでユニークであるということを意識しながら取り組んでいます。

Q:ララ・クロフト同様に美しさや知性を兼ね備えた女優として、格好良い女性であり続ける秘訣を教えてください。



私は本当にぶきっちょで、バカをする女性なのよ(笑)。でも、もし何かあるとすれば、それはいつも自分に正直に、そして大胆に生きているからだと思います。もちろんそのせいで問題が起きることもありますが、それが私なんです。自分を正直に出して、ダイレクトに生きる姿勢だと思います。

Q:アンジェリーナ・ジョリーの魅力はどこにあるのでしょうか?



彼女がどんなに特別かは、みなさんも今ご覧になっておわかりだと思います(笑)。彼女が才能豊かで演技力のある女優であることは言うまでもなく、とにかく妥協をしないんです。どんなシーンでも最大限の力を出してチャレンジする。そして過ちを絶対犯さない。また100%全身全霊を込めて撮影に臨むタイプの女性でした。本当にこの役が好きだから、アクションシーンやユーモアたっぷりの台詞など、いろいろなアイディアを出しくれました。こういった映画や役に献身的な女優と巡り会うのは稀なことなので、そういう意味でも彼女は貴重な女優だと言えると思います。


文・写真:うたまる(キノキノ

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