[飛ぶ教室] Das Fliegende Klassenzimmer
11月22日より恵比須ガーデンシネマにてロードショー

監督:トミー・ヴィガント/原作:エーリヒ・ケストナー「飛ぶ教室」(岩波書店刊、偕成社文庫刊)/キャスト:ウルリヒ・ノエテン、セバスチャン・コッホ、ピート・クロッケ、アーニャ・クリング他
(2003年/ドイツ/114分/配給:メディア・スーツ)

「子ども時代」という思い出を抱える大人だからこそ深く味わえる、ケストナーによる児童文学永遠のベストセラー。

【REVIEW】
哲学もある教えもあるメッセージもある。しかしそんなことは二の次でいい。まずはこの映画を観ている時間が楽しい時間である、ということをお伝えしたい。それって単純だけど、大切なことでしょう?

寄宿舎生活を送る転校生ヨナタンとその仲間たち。ある日、隠れ家で「飛ぶ教室」という古い芝居の台本を見つける。彼らはそれをクリスマスの校内発表劇として上演しようと決めるのだが…。誰もが思い描くイメージどおりの子どもの世界がここにはある。現実はこんなきらめく出来事ばかりではなかったにしろ、誰もがこの映画のかけらを実体験として知っているはずなのだから。

映画の中で、子どもたちは見事に子どもらしく、大人たちは正しく大人である。大人は「勉強よりも大切なこと」を子どもに教え、子どもは「勉強よりも大切なこと」を大人から学ぶ。単純なことなのに、近頃なかなか聴かない話。今や「単純」はむずかしいことになりつつある。いろんなことが複雑になり過ぎている。そんな今だからこそ、絆の尊さを「単純」に描いたこの作品を、私たちは「単純」=「素直」に受け止めよう。この映画は子どもも楽しめる、だけど大人の方がもっと楽しめる!だって出会ってきた友人を、教えを受けてきた大人を、そして主人公たちと同じくピンクほっぺだった自分を “思い起こす”ことができるのは、かつて子どもだった大人にしか出来ないことなのだから!

Text:カジノリコ


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