[タイムライン] TIME LINE
2004年1月17日より、日劇1他全国東宝洋画系拡大ロードショー

原作:マイケル・クライトン/製作・監督:リチャード・ドナー/VFX:ILM/出演:ポール・ウォーカー、フランシス・オコナー、ジェラルド・バトラーほか
(2003年/アメリカ/116分/ギャガ・ヒューマックス共同配給)

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【STORY】
ニューメキシコの荒野で異常な死に方をしている巨大ハイテク企業、ITCに所属する物理学者が発見される。同じ頃フランス南西部、ドルドーニュの修道院の発掘現場では、14世紀の地層から行方不明になった教授のメガネのレンズと教授の筆跡で「Help Me」と書かれた手紙が出土した。2つの事件は教授の息子クリスと教授の教え子たちが発掘プロジェクトのスポンサーであるITCに訪れたことで結びついた。ITCは実験の最中に偶然発見した理論から時空間転送装置を開発しており、教授は14世紀のフランスに転送されたが、その後消息を絶ってしまったのだった。クリスと教授の教え子たち、そしてITCのスタッフ総勢7人のメンバーは中世の衣装をまとい、英仏百年戦争の真っ只中にあるフランスに救出に向かうのだが…。

【REVIEW】
『ジュラシック・パーク』や『ライジング・サン』の原作者でお馴染みのマイケル・クライトンの新作が、やはりというか当然のように最新のビジュアル・エフェクトと大規模な撮影で映像化された。過去に数多くのタイムトラベル映画が作り出され、過去や未来に行くためのもっともらしい理論やこじつけも同様に生み出されてきたが、マイケル・クライトンはお得意のハイテクノロジーの分野をフル活用し、タイムトラベルの時間と範囲を限定することで、それはアリかもと思わせる理屈でタイムトラベルにリアリティーを持たせた。まあ、正確に言えば本作はタイムトラベルというよりも、時空を越えた決まった時代と場所のみに物体を転送させるファックスみたいなものなんだけど。監督は「20年以上クライトンと仕事をしたいと思っていた」と語る『リーサル・ウエポン』シリーズや『陰謀のセオリー』のリチャード・ドナー。最近はプロデューサーとして『X-MEN』シリーズなどにクレジットされているので、名前を聞いたことがある人も多いでしょう。

主演のクリス役は『ザ・スカルズ』『ワイルド・スピードX2』のポール・ウォーカー、教授役に『ラスト・サムライ』にも出演しているビリー・コノリー、クリスが恋心を抱くケイト役に『A.I.』『ウインド・トーカーズ』のフランシス・オコナー、助教授マレク役に『トゥームレイダー2』『サラマンダー』のジェラルド・バトラー、ITC社長のロバート役に『セブン・イヤーズ・イン・チベット』『ダイノトピア』のデビッド・シューリスなど、豪華な面々が華を添える。

冒頭に出てくるいくつかのエピソードが後半に明らかになっていく演出は小技があちこち効いてるし、過去から現代に戻るための困難の数々はさすがハリウッド大作!って思わせてくれる大技の連続。最近は予算の都合でセットを一部分しか組まずに残りはCGで合成してしまう作品が多い中で、実際にフルサイズの城のセットを組んだり、城下の村を再現したりとアナログな手法を用いた本作は、本物の映像が持つ迫力に溢れている。特に実際に射出出来る投石機の映像は、ミサイルやビームが出るような未来の兵器よりも何十倍も格好良く、そして力強い。カメラが追い切れないほどダイナミックに飛んでいく炎に燃えた投石のなんと美しいことか。

映画化の制約上、原作からいくつかの設定やサイドストーリーが省かれてしまったのでは?と思える展開に大味な印象を受けてしまうかもしれないし、なんでやねん!と突っ込みたくなるシーンが無い訳じゃないけれど、そこを楽しんでしまうのも、この作品の面白さの一つだろう。こうしたスペクタクル巨編を観るなら、やはりビデオではなくスクリーンに限る。

Text:うたまる(キノキノ



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