Le Papillon
おじいさんと女の子のしあわせ探しの旅。
やっぱりみんな大好きしあわせものと子役もの。

REVIEW:
幸せになるためのフランス映画(…どこかできいたようなフレーズですが)『パピヨンの贈り物』は、鬱病で自殺してしまった息子の願いを叶えるために幻の蝶々探しを人生の宿題にしている老人と、隣のアパルトマンに越してきたママに構ってもらえないちょっぴり淋しい少女が、その幻の蝶々“イザベラ”探しの旅にでかけそれぞれのしあわせを手に入れるという、とてもいいお話。

8歳の女の子エルザ役のクレール・ブアニッシュはこの映画が女優デビュー作品。外国の子役ってどうしてまぁこんなに泣かせ上手なのかしら?としみじみ思わせる演技で観るものを泣かせ微笑ませる。名演なのか素なのか?とにかくねらったいやらしさの全くない、素直な優しい気持ちを触発するあの演じっぷりは見事なもの。

しあわせって何?ときかれてもそうは容易に答えられないものだけれど、多分この映画を観た後のこんな感じの余韻がしあわせの感触なのではないだろうか?日頃、ものすごく不幸だとは思っていなくてもこの手の映画を観ることで自分の精神疲労に気づかされほろりときてしまう人も少なくはないと思う。フランス南東部ヴェルコールの大自然の中、鳥の鳴き声や葉擦れの音を背景に繰り広げられる老人と少女のとんちのきいた問答の、悲しくもないはずの場面に泣けてきたのはなぜだろう?相当弱っていたのだろうか? ともかくこういう映画が心のビタミン剤ってものなんだと、風潮に洗脳され気味な発想ではあるけれど、そんな風に思った。

Text:Yukiko Kodama

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『パピヨンの贈り物』
2004年5月15日(土)、銀座テアトルシネマにてロードショー
(2002年/フランス/85分/配給:東京テアトル)


CAST&CREW:
監督・脚本・原作:フィリップ・ミュイル
出演:ミシェル・セロー、クレール・ブアニッシュ、ナドゥ・ディウ、フランソワーズ・ミショーほか


REVIEWER:
Yukiko Kodama