American Splendor
『ゴーストワールド』別ヴァージョン? 痛い普通さがクる、地味なオタク中年の日常を描く「私漫画」の映画化に悶えよう!

REVIEW:
映画『ゴーストワールド』でS・ブシェミが演じた、古いレコード収集オタクのダメ中年が主人公になった話、だと思って観て欲しい。ブシェミが演じてたシーモアは確かフライドチキン・チェーンの事務員だったが、本作でP・ジアマッティが演じるユダヤ系中年ハービー・ピーカーは病院のカルテ整理係。でも彼は実在人物なのだ!

ジャズ・オタク趣味を理解してもらえず女に逃げられた彼は、近所のガレージセールでイーニドではなくアングラ漫画家ロバート・クラムに出会ったおかげで、漫画原作者という道を見い出す。アメコミといっても彼の『アメリカン・スプレンダー』は私小説的な日常エッセイ漫画。その題名(米国の輝き)に反してちっとも輝いてない周囲の些事を辛辣にリアルに描くものだ。ところがそのキャラとしての冴えない愚痴男ぶりがウケて、80年代にはオルタナ・コミック界の有名人に。TVで毒舌吐いたり、ファンのオタク系女性と非ドラマチックに恋に落ちて結婚したり、癌になったり、養女を迎えたりするのだが、そういう私生活も全て漫画にしちゃうのだ。この映画はその「私漫画」の完全映画化であり、ということは「私映画」=彼の伝記的ドキュメンタリーにもなり、原作者本人はもとより他の漫画内キャラのモデルとなった周囲の実在人物も登場するので、マジなドキュと一度漫画を通過したドキュとが混ざり合う、なんとも不思議な味わいに。裏『くたばれ!ハリウッド』という感じの冴えない人生の妙味に悶えよう!

Text:Hidemaro Kajiura

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『アメリカン・スプレンダー』
2004年7月10日よりヴァージンシネマズ六本木ヒルズ他にて公開
(2003年/アメリカ/1時間41分/配給:東芝エンタテインメント)

CAST&CREW:
監督・脚本:シャリ・スプリンガー・バーマン&ロバート・プルチーニ
出演:ポール・ジアマッティ、ハービー・ピーカー、ジェイムズ・アーバニアク、ホープ・デイヴィス、ジョイス・ブラブナーほか

REVIEWER:
梶浦秀麿

INTERNAL LINK:
『ゴーストワールド』レビュー

EXTERNAL LINK:
『アメリカン・スプレンダー』公式サイト

BOOK:
アメリカン・スプレンダー
ハービー・パーカー著/ブルース・インターアクションズ刊

DVD:
cover ゴーストワールド
主演:ソーラ・バーチ、スカーレット・ヨハンソン