Once upon a time in the midlands
時に、女心は悪い男に揺らぐもの。
二人の男が自分をかけて争うとき、彼女が選ぶのはいい奴?わるい奴?

REVIEW:
東京=日本でないように、ロンドンだけがイギリスって訳じゃない。この国の、ステレオタイプでないリアルな局面を垣間見るような或る家族のお話『家族のかたち』は、イギリスはミッドランド、ノッティンガムから届いたいいお話である。

シャーリーには、12歳になる愛娘がいる。夫は二人を捨てて街を出ていったきり。今はディックという優しい恋人がいて、娘のマーリーンも彼のことが大好きだ。ある日ディックはTVの公開番組でシャーリーにプロポーズを試みる。しかしそれは思惑外の結果をもたらすことに…今までわるい夫抜きで平穏に流れていた三人の生活に波紋を呼んでしまうのだった。

妻に求婚する男の存在を知り、嫉妬に駆られ街に舞い戻ってくるわるい夫ジミー役のロバート・カーライルと良い恋人ディック役のリス・エヴァンスのコントラスト、わるい奴といい奴の狭間で揺れ動く女心がみどころ。いわくつきの男と平和を守ろうとするヒーローの対決というマカロニ・ウェスタンなストーリー構成だけれど、50年代のそれとは趣向が違う。わるい奴もいい奴もどこかダメ男だったりして、話が進むにつれそれぞれの個性がそれぞれに愛すべきキャラクターへと格上げされていくのだ。心優しくちょっと気弱なディックを演じるリス・エヴァンスの滑稽で切ない姿はただのこけおどしに終わることなく、骨太とはいいがたいながらも21世紀風な男気を伝える。《男のつよさ》の定義も時代と共に随分と移り変ってきたようだ。

Text:Yukiko Kodama

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『家族のかたち』
2004年7月10日より日比谷シャンテシネにて公開
(2002年/イギリス/1時間44分/配給:クレスト・インターナショナル、エレファント・ピクチャー)

CAST&CREW:
監督:シェーン・メドウス
出演:ロバート・カーライル、リス・エヴァンス、シャーリー・ヘンダーソン他

REVIEWER:
Yukiko Kodama

INTERNAL LINK:
『家族のかたち』試写会プレゼント
(応募締切:2004年6月20日)

EXTERNAL LINK:
『家族のかたち』公式サイト