The Company
名門バレエ団の華麗な舞台を練習風景から堪能できる!
アンチ・ドラマな疑似ドキュメンタリー味がクールな逸品。

REVIEW:
曽田正人『昂-スバル』という男性向け!のバレエ漫画があって、ヒロインがついには観客の意識さえコントロールし空間を超える超能力にまでダンスを極めるって暴走する展開に唖然としてたら11巻で中断、もしかして当局=ESP対策課(?)の圧力か……ってなヨタはおいといて(笑)。この漫画の中のシステロンというNYの新進バレエ・カンパニーの描写が割とリアルで、この映画のジョフリー・バレエ・オブ・シカゴが元ネタかも?とか、ちょい思っちゃったのだ。

本作はその実在する有名バレエ団を、巨匠R・アルトマンがフィーチャーした疑似ドキュメンタリーなのだが、劇中で本物のダンサー達による本物の舞台10作品を、練習風景から堪能できるってのがミソ(それらのパロディ・ダンスまで現役ダンサーが演じる!)。原案を持ち込んだネーブ・キャンベル(『スクリーム』『54』など)自身が演じるダンサー、ライの恋や出世を描くドラマが芯にあるものの、監督の視点はなかなか凶悪で、アンチ・ドラマな演出が不穏なリアルさを醸し出している。バレエ団経営の実情という生臭い話や、団員達のプライドの衝突や貧乏生活、野外公演のアクシデント、「ブツン」という音と共にトップ・ダンサーとしての人生が終わる瞬間(!)など、リアルな素振りで次々と点描される「ダンサーという生き物の生態」……。時にシニカルにもコミカルにもなる本作は、人を魅了する身体的「超能力者」達の過酷な生を、クールに疑似体験させもするのだ。

Text:Hidemaro Kajiura

Copyright © 2004 UNZIP.
『バレエ・カンパニー』
2004年7月下旬より日比谷シャンテシネ、bunkamuraル・シネマ他にて公開
(2003年/アメリカ・ドイツ/1時間52分/配給:SPO/宣伝:maison)

CAST&CREW:
監督:ロバート・アルトマン
出演:ネーブ・キャンベル、ジェームズ・フランコ、マルコム・マクダウェルほか

REVIEWER:
梶浦秀麿

EXTERNAL LINK:
『バレエ・カンパニー』公式サイト