Sky Captain and the World of Tomorrow
ニューヨークにロボット軍団が飛来!
『オズの魔法使』(39)のSF版でもある、レトロで新しい漫画映画テイストの逸品だ。

REVIEW:
940年3月3日、世界は滅びようとしていた――恐るべき「明日の世界」計画が、ついに発動してしまったのだ! 最後の頼みはスカイ・キャプテンことジョセフ・サリバン(J・ロウ)だけ。どうか地球を救って、ジョー!――ってな痛快冒険SF活劇。レトロ・フューチャー風味というか「テロとの戦争中」のアメリカならでは(?)の戦時漫画映画(Wartime Cartoon)テイストの逸品である。

主要キャラ以外は全て3DCGなのだが、モチーフとなった39-40年のNY万博(メインテーマが「明日の世界」!)で展開されたアド・イメージ(源流となるロシア構成主義へのオマージュもある)や機械観(流線形崇拝!)にこだわった描写が絶妙で、デザインに興味がある人はまず必見。さらに今や骨董品である当時のカメラやらプロペラ戦闘機などへの愛着も全開。なにせジョーの愛機は41年末に真珠湾を守ってゼロ戦と闘ったカーチスP-40ウォーホーク改だったりするのだ(冒頭には飛行旅客船ヒンデンブルグIII世号も登場するしね)。はたまたファッションに敏感な人なら要注目のステラ・マッカートニーが、時代考証にも配慮しつつ最先端の感性でリファインしてみせた衣装デザインもレトロで洒脱でクール。もっと見せて!と身悶えするはず。この懐かしくて新しい感覚が、僕らを“有り得たかもしれないもう一つの世界”へと誘うのである。

アンジョリ姐御の隻眼将校も格好いいけど、個人的にはグウィネスの“お澄ましドジっ子ぶり”がツボかも(笑)。

Text:Hidemaro Kajiura

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『スカイ・キャプテン ワールド・オブ・トゥモロー』
2004年11月27日、日劇3他全国東宝洋画系にてロードショー
(2004年/アメリカ/1時間47分/配給:ギャガ・ヒューマックス共同配給)

CAST&CREW:
監督・脚本:ケリー・コンラン
衣装:ステラ・マッカートニー
出演:ジュード・ロウ、グウィネス・パルトロー、アンジェリーナ・ジョリー、ジョヴァンニ・リビシ、バイ・リン、マイケル・ガンボンほか

REVIEWER:
梶浦秀麿

INTERNAL LINK:
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EXTERNAL LINK:
『スカイ・キャプテン ワールド・オブ・トゥモロー』公式サイト