UNZIP

『オーシャンズ11』OCEAN'S ELEVEN

史上最強の“犯罪ドリームチーム”が挑む、史上最大の強奪作戦

保釈中のカリスマ窃盗犯ダニー・オーシャン(ジョージ・クルーニー)が刑務所暮らしの4年間に練りに練った犯罪は、ラスベガスの3大カジノの現金がすべて集まる巨大金庫から、厳重な警戒とセキュリティシステムを破って1億6000万ドルの現金を盗み出すというとてつもない計画。金庫に眠る現金の持ち主は、ラスベガス一冷酷非情なホテル王ベネディクト(アンディ・ガルシア)。彼はオーシャンの離婚寸前の妻テス(ジュリア・ロバーツ)の現在の恋人でもあった。このプランを実行に移すために、オーシャンがまず話を持ちかけたのは、旧友のラスティー(ブラッド・ピット)。今は10代の子供相手ポーカーを教えるというつまらない仕事に甘んじているが、頭の回転が速く、他人の裏をかく天才。しかも万事に細かい。大胆すぎるこの計画を完遂するには不可欠な人材だった。そして2人は、全米に散らばるマニアックなプロフェッショナルたちをスカウトして回る。一般社会から見れば“はみ出し者”だが、信義に厚く実力はピカイチ。それぞれ自分のスタイルと美学を持つ男たちである。11人のプロフェッショナルからなる史上最強の“犯罪ドリームチーム”の誕生だ。彼等は、史上最大の強奪作戦を成功させることができるのか?

刑務所から保釈されたダニー・オーシャンは、タキシードを身に付け、荷物は結婚指輪一つ。そんなシーンから始まるこの映画、まずはジョージ・クルーニーのその貫禄に驚かされた。ジョージ・クルーニーと言えば、誰もが甘いマスクのキュートな2枚目俳優という印象を持っていることと思う(そして『オー・ブラザー!』で“ミスターER”を脱するまでは俳優としてよりもゴシップキングとして名を馳せていたと言っても言い過ぎではないはず)。本作でも彼はもちろんキュート! だけど、登場するだけで画面が華やかになる、大スターのオーラがあるのだ。カリスマ性のあるリーダー、オーシャンを演じる彼の圧倒的な存在感の前では、共演で重要な役割を演じるブラッド・ピットでさえ、引き立て役の様に感じる程(ファンの贔屓目かもしれないが)。後で思えば“カリスマ性”を演技することができる、素晴らしい俳優だということなのかもしれない。

この2人以外にもハリウッドの大スター達が集結している。ジュリア・ロバーツ、アンディ・ガルシア、マット・デイモン…。これだけのメンバーを集めて、製作費1500万ドル(約17億円)という、普通ならジュリア・ロバーツ1人のギャラも払えない程の低予算で映画をつくってしまったのがスティーブン・ソダーバーグだ。『セックスと嘘とビデオテープ』でカンヌ映画祭パルム・ドールを受賞して注目を集め(この時ソダーバーグは若干26歳!)、10年後の『エリン・ブロコビッチ』で再び脚光を浴び、同年『トラフィック』でアカデミー賞監督賞を受賞した、今最も注目されている監督の1人である。

とは言え、これだけの大スター達がギャラを削ってでも出演したのは、セクション・エイトという映画制作会社をソダーバーグと共同経営するジョージ・クルーニーの協力があってこそ。ジョージがオーシャンを演じることがまず決まり、ソダーバーグと2人でスター達を集めていったのだという(まるで、劇中のオーシャンとラスティーみたい!)。ハリウッドで一番ギャラが高い女優、ジュリア・ロバーツを誘った時は、「君が今では1本あたり20取るって話だからね」と20ドル紙幣を挟んだ脚本を渡したというエピソードがあるが、20と言ってもジュリアの通常のギャラは20ミリオンドル(2000万ドル)。こんなジョークが通じるのも大スター同士だからだろう。

肝心のストーリーであるが、これはもう是非観て、楽しんで欲しい。この現金強奪計画、もちろん犯罪なのだがそこには罪悪感など全く感じられない。まるで現金強奪計画ゲーム。綿密に計画を立て、それが実行されていく様はドキドキしながらもどこか安心して観ていられる。11人のチーム全員、お金を手に入れることが本当の目的ではなく、それぞれのプライドであったり、悦びであったり、おそらく愛であったり…そういった個々のドラマがきちんと描かれている点も面白い。劇場のシートに座るだけで、最後まで楽しい時間を過ごすことができる映画だ。


Reviewer : ayako nakamura

ABOUT THIS FILM

2002年2月9日より丸の内ルーブルほか全国松竹・東急系にて公開
(2001年/アメリカ/配給:ワーナーブラザーズ映画)

監督・撮影:スティーブン・ソダーバーグ/脚本:テッド・グリフィン/製作:ジェリー・ワイントローブ/衣装:ジェフリー・クアランド/音楽:デイビット・ホルムズ

出演:ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、マット・デイモン、アンディ・ガルシア、ジュリア・ロバーツ、ケイシー・アフレック、スコット・カーン、ドン・チードル、エリオット・グールド、エディー・ジェイミソン、バーニー・マック、カール・ライナーほか