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『ライフ・アクアティック』The Life Aquatic with Steve Zissou

ウェス・アンダーソン監督のファンは必見!赤い帽子が欲しくなります

あの『天才マックスの世界』の、『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』の、ウェス・アンダーソン監督の新作が公開された。『天才マックスの世界』を観てからというもの、広告塔のように「ウェス・アンダーソン、天才!」とふれまわってきたわたしにとって、観ずにはいられない映画である(少なくとも個人的には、間違いなく!)。

ウェス・アンダーソン監督については、梶浦秀麿氏のコラム(のおまけ)に詳しいので興味のあるひとはそちらを読んでほしいのだけど、前作について知らない人のためにざっくり紹介すると、『天才マックスの世界』は19ものクラブをかけ持ちし、未亡人に恋する15歳の超多忙な少年が主人公の映画。『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』は小さい時は天才だった3人の子供たちとダメおやじの映画だ。

では『ライフ・アクアティック』は? というと世界的に有名な海洋冒険家兼ドキュメンタリー監督(ただし落ち目)スティーブ・ズィズー(ビル・マーレイ)が主役の、海洋冒険もの、もしくは“疑似”家族ドラマ。わかりやすく例えると、「ウェス・アンダーソン版 川口浩探検隊とその家族を追うドキュメンタリー」みたいな感じだろうか?

これまで室内劇のようなこじんまりした(しかし上質の)映画を撮ってきた彼だが、広い海を舞台にしても、ウェス・アンダーソンの良さである程良い箱庭感はそのままに、笑いあり、無意味な涙あり、ファンの期待を1ミリも裏切らない素晴らしい仕上がりとなっている。もちろん彼らしい、細部にわたる過度なまでの作り込みは勢いを増すばかりで、海の生き物たちはすべてニセもの(『ナイト・メアー・ビフォア・クリスマス』のヘンリー・セリック監督によるもの)という徹底ぶりだ。

音楽のセンスにも定評のあるウェス・アンダーソンだが、今回もあっと驚く素晴らしい音楽を聴くことができる。ブラジリアン・ソウルのカリスマ、セウ・ジョルジがポルトガル語で歌うボサノヴァ調のデビッド・ボウイの名曲(ジギー・スターダストの頃の!)なんて、他に誰が聴かせてくれるだろうか。

いくら書いても褒め言葉しか出てこないので、最後に付け加えると、一緒に観た同僚は1時間ぐらい居眠りをしていたし、静かな試写室の中でわたし一人が大声で笑い転げていたと指摘されたのも事実。でもウェス・アンダーソンが好きなひとなら、やはり絶対に観るべき映画でしょう。


Reviewer : ayako nakamura

ABOUT THIS FILM

2005年5月7日から恵比寿ガーデンシネマにて公開
(2004年 / アメリカ / 1時間58分 / 配給:ブエナ ビスタ インターナショナル(ジャパン))

監督:ウェス・アンダーソン / アニメーション:ヘンリー・セリック / 音楽:マーク・マザーズボー

出演:ビル・マーレイ、オーウェン・ウィルソン、ケイト・ブランシェット、アンジェリカ・ヒューストン、ウィレム・デフォーほか