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『マイティ・ウクレレ』Mighty Uke

みんなをハッピーにするアロハな楽器のお話

ひとつ爪弾けばポロロンと暖かみのある優し音色、ときには激しく掻き鳴らされ、またあるときは、どこまでも深い感情をその調べにのせる…。小さくて見た目もかわいいその形で多彩な表情をもつ、誰しもが聴いたことあるウクレレ。いま、この楽器が更なる脚光を浴びはじめている。

その歴史はとても古く、1800年代後半にポルトガル移民によってハワイにもたらされてから、モダンジャズ直前のアメリカでも演奏され愛されていた。しかし、ポップス、ロックの全盛期を迎えるにあたって、次第にその存在感を薄めていってしまうが…。

そんなウクレレのはじまりと歴史を貴重な映像とともに紹介しながらも、世界中の数多くのウクレレ・プレイヤーの「いま」を追っていく。日本でも人気の高いジェイク・シマブクロやウクレレの歴史そのものとも言える103歳を迎えるビル・タピア、ハワイアンという枠にとらわれずに様々な可能性をみせてくれるカナダ出身のジェームズ・ヒルなどのインタビューや演奏シーン、数多くのウクレレを所有し紹介してくれるコレクターのインタビュー、仲間たちで集まりウクレレを楽しんだり、レッスンを受ける人びとなど、大人から子供まで本当に様々な人々がウクレレを楽しんでいる表情には心が温まる。

ハワイ、アメリカ、カナダ、ポルトガル、日本など、世界各国でウクレレが愛され、人びとを笑顔にしている。そう書くとウクレレでなくてもどの楽器だって、と思われるかもしれないが、彼ら、ウクレレを愛する人びとを見ていると、ウクレレを楽しんでいる人がもつ“独特な”穏やかで心豊かな表情を見せてくれる。そう、ハワイという国が醸し出している、あのたおやかで、懐が深く、暖かいあの感じが滲み出ている。観ているこちらも、笑顔にしてくれるようなあの感じ。

年齢や性別、国籍すら問わず本当に多くの人々に愛されるウクレレがもつ不思議な魅力が詰まった本作。もともとウクレレが好きな人は新たな発見を、まだウクレレに触れたことのない人にとっては最良に入り口になってくれるはず。なぜなら、世界中の人びとがウクレレを片手に、笑顔と美しく楽しい音色で歓迎してくれているから。これがウクレレの最大の魅力なのかもしれない。きっと、思わず触れてみたくなって、そして、親しみをこめて“ユーク”という愛称で呼びたくなるはず。


Reviewer : yuki takeuchi

ABOUT THIS FILM

2011年12月10日より、シネマライズほか全国ロードショー
(2010年 / カナダ / 76分 / 配給:グラッシィ)

監督:トニー・コールマン / エグゼクディブ・プロデューサー:ロン・マン / プロデューサー:マーガレット・メイハー

アーティスト:ジェイク・シマブクロ、ビル・タピア、ジェームズ・ヒル、タイマネ・ガードナー

TRAILER