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『永遠の僕たち』Restless

孤独な“僕”が君と出会って知った、生きること。愛すること。

ベリーショートにアニマルプリントのコートを着て、赤いスカーフを空になびかせた女の子の妙に透明感のあるポスターのビジュアルを見たとき、あぁ、これは絶対に好きな映画が来たな、と思った。

ガス・ヴァン・サント監督の作品は、独特の空気感と映像美が特徴的で、静かで深い衝撃を受けていつも参ってしまうのだが、それにしてもなんというビジュアルの力だろう。

女の子はティム・バートン監督の『アリス・イン・ワンダーランド』でアリス役に抜擢され注目を集めたミア・ワシコウスカ。彼女がキスをしようとしている男の子は本作がプロとしての初出演となる、亡きデニス・ホッパーの息子ヘンリー・ホッパー。その二人をなんとも表現しがたい眼差しで見つめる日本兵は、加瀬亮だ。これ以外に考えにくいほどの配役である。

ヘンリー・ホッパーが演じるイーノックは見ず知らずの他人の葬式に顔を出してばかりいる少年。江國香織の小説に、見知らぬ人の葬式に参列するのが趣味の風変わりな夫妻の物語があったのを思い出したが、実は彼の場合は事情が違う。その彼が、ある葬式で、ミア・ワシコウスカ演じるアナベルに出会う。野鳥や虫の生態観察が趣味の一見変わった女の子だ。彼女はイーノックに好きな鳥の本の話を聞かせる。

「“夕日が沈むと死ぬ”と思い込んでいた鳥は、朝になると目覚めた歓びで美しく鳴くの」

最初は、一風変わったボーイ・ミーツ・ガールの物語かな、と思って観ていたのだが、これがとんでもない間違いだった。描かれているテーマは「死」を受け入れるという難題。悲しく切なく、それでいて強く美しい物語に、観終わった後は、試合後の「あしたのジョー」のように真っ白になってしまった。わざとらしく感傷を誘うこともなく、爽やかにぐさりと突き刺さるこの感じ、これがガス・ヴァン・サント監督の真骨頂でしょう。

The Beatlesの”Two of Us”ではじまる音楽もとてもよくて、この作品に乾いたギターの音を選んだセンスは本当に素晴らしい。

個人的には『永遠の僕たち』が2011年のベストワンです。この映画が、少しでも多くの人に届きますように。そして、必ずエンドロールの最後まで観てほしいと思います。


Reviewer : ayako nakamura

ABOUT THIS FILM

2011年12月23日よりTOHOシネマズ シャンテ、シネマライズほか全国順次ロードショー
(2011年 / アメリカ / 1時間30分 / 配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)

監督:ガス・ヴァン・サント / 製作:ブライアン・グレイザー、ロン・ハワード、ブライス・ダラス・ハワード、ガス・ヴァン・サント / オリジナル楽曲:ダニー・エルフマン

出演:ヘンリー・ホッパー、ミア・ワシコウスカ、加瀬亮ほか

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