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『親愛なるきみへ』Dear John

名匠ラッセ・ハルストレム監督による珠玉の恋物語

映画化もされた『きみに読む物語』のベストセラー作家、ニコラス・スパークスの原作による王道をいくラブストーリー。

2001年、ジョンとサヴァナは、海辺で偶然出会い、2週間で恋を紡ぐ。しかし、軍の特殊部隊に所属するジョンは戦地に赴かねばならず、1年後に退役し戻る約束を交わして旅立つ。戦地とサヴァナの待つサウスカロライナの間で、ふたりは手紙をもってその絆を保とうとするが、その1年で世界の状況は一変する。その荒波に抗うことができず、ふたりの未来は年月をかけて予想しない方向へその矛先を変えていってしまう。

監督は、『ギルバート・グレイプ』や『ショコラ』などで絶大な指示を得てきたラッセ・ハルストレム。以前からファンの間では最近の作品には、以前のような“らしさ”が感じられないと首を傾げる声もちらほら耳にするが、ベタなメロドラマになりがちな主題を、舞台となる土地の自然や雰囲気を丁寧にとらえながら、抑制の効いた演出で静かに穏やかに紡いでいくその手腕は、やはり健在といえる。また、サイドストーリーとして語られる、コイン収集が趣味の自閉症の父親と息子ジョンの関係、ジョンと彼の父親と間に入りふたりの絡んだ絆を解きほぐそうとするサヴァナの関係も作品の大きな要素になっている。もしかしたら、こちらのエピソードに以前の監督らしさを観る方もいるかもしれない。

出演している俳優陣はもちろん素晴らしいが、ハリウッドを代表するようなビッグスターが出ている訳でもない。またこの作品は、派手な演出や凝った仕掛け、突飛な設定などの作品も多いなか、ストレートな表現で構成された真逆をいくようなオーソドックスさだ。しかし、それがむしろ新鮮で、原作や映画そのものに対するラッセ・ハルストレムの誠実ささえ伝わってくる。見終わった後には爽やかな印象を残してくれる良質な作品だ。


Reviewer : yuki takeuchi

ABOUT THIS FILM

2011年9月23日(金・祝)新宿ピカデリーほか全国拡大ロードショー
(2010年 / アメリカ映画 / 108分 / 配給:プレシディオ / 協力:ハピネット)

監督:ラッセ・ハルストレム / 原作:ニコラス・スパークス / 製作:マーティ・ボーウェン、ウィク・ゴッドフリー、ライアン・カヴァナー / 撮影監督:テリー・ステイシー / 音楽:デボラ・ルーリー

出演:チャニング・テイタム、アマンダ・サイフリッド、ヘンリー・トーマス、リチャード・ジェンキンス

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