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『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』THE ADVENTURES OF TINTIN:THE SECRET OF THE UNICORN

僕らの大好きなタンタンが、スクリーンで動き出す!

「タンタンの冒険」が映画化されると聞いて、心を踊らせたファンはたくさんいると思う。子どもの頃に読んでいたオリーブでタンタンに出会って以来、長年タンタンが大好きなわたしももちろんそのひとりだ。一方で、監督をスピルバーグが務め、しかも3D映画でCG化されると聞いて疑問に思ったファンも少なくないだろう。実際、ものすごくリアルなCGのタンタンのビジュアルを見たときには、正直なところ、あまりピンとこなかった。

ところが、だ。そんな不安はオープニングタイトルを見ただけで吹っ飛んでしまった。オープニングタイトルの第一人者のSaul Bass風でもあり、彼の作品へのオマージュとも言われるスピルバーグ監督の『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』のオープニングタイトル(Kuntzel + Deygasによるもの)にも似ているが、3Dならではの表現が組み込まれていて、古風なのにとても新しい。「3Dで観てよかった」と思わせる出来なのだ。タンタンの動きもまた秀逸で、初めて目にする動くタンタンは、「タンタンってきっと、こう動くんだろうな」と思っていたそのままの動きでスクリーンを駆け巡る。

実は原作の「タンタンの冒険」シリーズのお話は、その可愛くてお洒落な見た目に反してインディ・ジョーンズシリーズに影響を与えたほどの冒険活劇で『レイダース 失われたアーク《聖櫃》』の製作総指揮を努めたジョージ・ルーカスが「タンタンの冒険」がコンセプトになっていると発言したこともあるほど(当時スピルバーグ監督は「タンタンの冒険」を知らなかったそう)。ハラハラ、ドキドキが連続する勇敢なヒーローの冒険物語なのだ。そのスケール感をスクリーンで表現するには2Dのアニメーションでは足りなかっただろうし、実写ではタンタンらしいカートゥーン的な動きの表現が困難だっただろう。映画を観てすぐに、CGがベストなチョイスだったのだなと納得した。

すでに続編の製作が決定しているが、原作者のエルジェが亡くなったいまも、新しいタンタン作品にまた出会えることはとてもうれしい。そして最後にもうひとつ。スピルバーグ監督は、こういった冒険モノはほんとうに巧い(「タンタンの冒険」にはスピルバーグが不得意と言われる大人の恋愛どころか女性すらほとんど登場しないしね)。彼の監督作品の中でも傑作のひとつだと思います。


Reviewer : ayako nakamura

ABOUT THIS FILM

2011年12月1日(木)より、TOHOシネマズ スカラ座ほか全国ロードショー
(2011年 / アメリカ / 107分 / 配給:東宝東和)

監督・プロデューサー:スティーブン・スピルバーグ / 脚本:スティーブ・モファット、エドガー・ライト、ジョー・コーニッシュ / プロデューサー:ピーター・ジャクソン、キャスリーン・ケネディ / 音楽:ジョン・ウィリアムズ / 原作:エルジェ

キャスト:ジェイミー・ベル、アンディ・サーキス、ダニエル・クレイグ、ニック・フロスト、サイモン・ペッグ、トビー・ジョーンズ、マッケンジー・クルック、ダニエル・メイズ、ガド・エルマレ、ジョーイ・スタール