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『セブン・デイズ・イン・ハバナ』7 días en La Habana

ハバナの魅力が詰まった7日間のアンソロジー

ハバナ、「世界で最も美しい島」キューバの首都。観光客だけでなく、芸術家たちも魅了する街。数多くの映画監督もまた魅了され数多くのハバナを舞台にした映画が作ってきた。ヴェンダース『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』もその代表的な作品のひとつだ。この『セブン・デイズ・イン・ハバナ』は国際的に活躍する映画監督が参加した“ハバナ愛”溢れるオムニバス。決して経済的に豊かとは言えないこの地が、なぜこれほどに多くの人たちを魅了するのか。その答えがこの7つのアンソロジーにある。

少しだけその本作の内容を紹介すると——

「月曜日 ユマ」は、商業映画初監督となる世界を代表する名優ベニチオ・デル・トロが担当。オープニングにふさわしく、ハバナにやって来たアメリカ人の青年が、ハバナの人びとやナイトライフに戸惑いながらも、少しずつ街そのものに受け入れられていく様がリアルに、そしてユーモラスに描かれていく。

「火曜日 ジャム・セッション」は、なんとエミール・クストリッツアが、ほぼ本人役として登場。ハバナでの映画祭に招待されるが、忙し過ぎる環境に少しうんざりし、憂鬱な表情を浮かべ、酒に溺れている。しかし、タクシー運転手との出会いと友情が、彼を束の間の解放へと誘う。即興/アドリブのようなクストリッツアの演技とタクシー運転手が連れて行くパーティーでの音楽、そして二人の友情がまさにジャム・セッションのように紡がれていく。

「木曜日 初心者の日記」は、現代のバスター・キートン、もしくはジャック・タチとも称されるエリア・スレイマン監督/主演による彼らしいシュールでユーモアあふれ、ちょっと政治的で、少しロマンチックな味わい深い物語。

「金曜日 儀式」は、さすがギャスパー・ノエと思わせる、このアンソロジーのなかでも最も異色な雰囲気を漂わせる。最新作『エンター・ザ・ボイド』にも通じるような一点集中、過激な切り口を見せる彼らしい官能と独自の世界感が展開される。

もちろん、他の作品も素晴らしい。それぞれが独立しているエピソードだが、ほんの少しずつ交わりがあり、7つのすべてを見ることで、ハバナの奥深さを更に感じることができる。

色彩に溢れる美しい旧市街と真っ青なカリブ海、個性的で独自の文化、現地の人の陽気さと人なつっこさ、哀愁と官能の音楽とアルコール、街に漂うノスタルジーなど、多様で奥深い魅力が7つのアンソロジーに詰まっている。まさに7日間のハバナ体験。そして、新たな素晴らしいハバナ映画の誕生だ。


Reviewer : yuki takeuchi

ABOUT THIS FILM

8/4より、 ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー
提供・配給:コムストック・グループ、アルシネテラン

(2012年/フランス、スペイン/スペイン語、英語/129分/カラー/アメリカン・ヴィスタ/ドルビーデジタル/デジタル上映/原題:7 días en La Habana)

監督:ベニチオ・デル・トロ、パブロ・トラペロ、フリオ・メデム、エリア・スレイマン、ギャスパー・ノエ、フアン・カルロス・タビオ、ローラン・カンテ

TRAILER