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『ラバー』Rubber

タイヤが殺人鬼に!? クウェンティン・デュピュー(a.k.a. Mr.Oizo)による新感覚ホラー

今作を知ったのはイギリスの映画雑誌「EMPIRE」で「これから公開のホラー映画の注目作特集」だった。カンヌ国際映画祭の批評家週間に出品されたのは知っていたが、その記事で『ホステル』タイプの拷問ホラーの『セルビアン・フィルム』や快作ホラーコメディ『タッカーとデイル/史上最悪にツイてないヤツら』と共に目立っていた。監督はミスター・オワゾ名義でダフト・パンクで知られるフレンチ・エレクトロをやっていたクウェンティン・デュピュー(ミスター・オワゾはLEVI’SのCMに曲が使用されてブレイクした)であり、ホラー映画に対する一種の批評でもあるということで俄然興味を持った。その記事を見た後のアメリカ公開時に「モンティ・パイソンが書いてルイス・ブニュエルが撮った『トワイライト・ゾーン』シリーズのような映画。頭を空っぽにして、新感覚のこの映画に備えよ! それが『ラバー』だ」の「ニューヨーク・ポスト」の評を読み、モンティ・パイソンもルイス・ブニュエルも『トワイライト・ゾーン』も大好きなのでより楽しみになった。

実際に観てみると思っていた以上に細部まで工夫を凝らした映画であり、ブラックユーモアが際立っていたことが嬉しい発見だった(『サイコ』のシャワーシーンを意識したシーンもあり)。そして撮影が何より素晴らしい。キャノン5D Mark IIで撮っていて、モンテ・ヘルマン監督の意欲作『果てなき路』も同じカメラで撮られたのは後から知った。冒頭に解説(?)があるが、「理由はない(ノーリーズン)」という映画の概念に敬意をおくる作品となっているのも見どころ。ミュージシャンでもある監督らしく劇伴の音楽も良く、ジョン・カーペンター作品を思わせるシンプルながら効果的である。こちらも日本公開を望んで映画会社に働きかけた作品なのでとにかく日本公開が嬉しいし、是非スクリーンで、この奇妙な唯一無二な映像体験をしてほしい。


Reviewer : Rintaro Watanabe

ABOUT THIS FILM

2012年1月21日ヒューマントラストシネマ渋谷にてロードショー
(2010年 / フランス / 82分 / 配給:アース・スターエンターテイメント)

監督・脚本・音楽・編集・撮影:クエンティン・デュピュー / 製作:グレゴリー・ベルナール、ジュリアン・バーラン

出演:スティーブン・スピネラ、ロキサーヌ・メスキダ、ジャック・プロトニック、ウィングス・ハウザー

TRAILER