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『リヴ&イングマール ある愛の風景』Liv and Ingmar

20世紀の最大の巨匠と世界的女優が生きた愛と友情の物語

黒澤明やフェデリコ・フェリーニとともに“20世紀最大の巨匠”と讃えられるイングマール・ベルイマン。スウェーデン人であるベルイマンが生み出してきた数々の名作は、いまなお世界中で愛されつづけている。彼の作品に影響を受け、彼の作品を愛する映画監督もW・アレン、キューブリック、スピルバーグ、スコセッシ、トリュフォーなど枚挙にいとまがないほど。現代においても、『(500)日のサマー』や『果てなき路』など、実に数多くの映画でオマージュされている。

そのイングマール・ベルイマンのミューズであり、『叫びとささやき』『ある結婚の風景』『秋のソナタ』『サラバンド』など、ともに10本の作品を生み出したのが女優リヴ・ウルマンだ。1964年に制作された『仮面/ペルソナ』の撮影中の恋に落ちたふたりは、撮影のために滞在していたフォール島にそのままふたりで暮らしはじめる。その後、5年間を生活をともにして、2本の作品を生み出した。娘ももうけたが、やがてふたりは破局する。それでもリヴ・ウルマンとイングマール・ベルイマンは、引き続き映画史に残る素晴しい作品を生み出しつづけた。そこになにがあったのか。リヴ・ウルマンは語る。50年前のふたりの出会いから、そして本当のふたりの別れに至るまでを。出会い、恋や愛の歓びを感じ、孤独に苦しみ、嫉妬を憎んだその感情を語れば語るほど、イングマール・ベルイマンという“20世紀最大の巨匠”が紐解かれていく。彼女だけが知っている、作品からは想像も出来ないような人間性。そして別れの後、リヴ・ウルマンが世界的な女優としての飛躍していくなかでも、ふたりが深くつながりあっていたこと。リヴ・ウルマンはそこに「深い友情」があったと言う。

さまざまなエピソードを聞き映像を観るうちに、ふたりは映画監督と女優という関係以上に、ひとりの人間としてお互いを理解し、強く尊敬し合っていたのだと感じられる。そう言葉に書くと、なんだかとても簡単に聞こえてしまうが、第3者には計り知れないほどの深いつながりがあったに違いない。それはリブ・ウルマンが、イングマール・ベルイマンの最期に立ち会うエピソードで確固たるものになるだろう。どうしたらこんなにも深い愛情と友情が生まれるのだろうと心底思わせられるほどだ。それほどの深いつながりがなかったら、20世紀最大の巨匠と世界的な女優はいまとは違ったものになっていたかもしれない。

スクリーンに映し出されるベルイマンの作品群のカットや貴重なメイキング映像、オフショットの数々(ファンにとってはそれだけでも垂涎ものだのだが)は、リブ・ウルマンの語りによって鮮やかさを増していく。既にそれらの作品をご覧になっている方にとっては、新たな印象をもってそのシーンを観ることになり今一度観返したくなるだろう。まだ未見の方にとっては、そうやって生まれてきた作品が実際どのようなものなのか、イングマール・ベルイマン監督がどのような傑作の数々を生み出してきたのか心惹かれるに違いない。

イングマール・ベルイマンの愛と友情はリブ・ウルマンのなかでいつまでも生き、イングマール・ベルイマンの映画は世界の人びとにいつまでも愛されつづける。


Reviewer : yuki takeuchi

ABOUT THIS FILM

12月7日(土)よりユーロスペース他、全国順次ロードショー

製作:ルネ・H・トロンソン
監督・脚本:ディーラージ・アコルカール
キャスト:リヴ・ウルマン、イングマール・ベルイマン 

2011年/ノルウェー・スウェーデン・UK・チェコ・インド合作/84分/英語(一部スウェーデン語)/カラー+モノクロ/DCP/16:9(1:1.78)/5.1ch/翻訳:桜井文/協賛:ノルウェー王国大使館、スウェーデン大使館

提供・配給:ブロードメディア・スタジオ

TRAILER

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秋のソナタ
ある結婚の風景
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