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『ロマン・ポランスキー 初めての告白』ROMAN POLANSKI : A FILM MEMOIR

映画史に名を刻む名作たちとその背景にある壮絶な人生

『戦場のピアニスト』。2002年にカンヌ映画祭で最高賞にあたるパルムドール、アカデミー賞では監督賞、脚本賞、主演男優賞の3部門に輝いた映画史に名を刻む名作だ。たとえロマン・ポランスキーという名を知らずとも、この作品の名を知らない人はいないだろう。

国際的な評価を得た長編第一作『水の中のナイフ』(62)。ミア・ファローと生み出し大ヒットをもたらしたカルトホラー『ローズマリーの赤ちゃん』(68)。フィルムノワールの傑作『チャイナタウン』(74)。ベルリン国際映画祭銀熊賞の『ゴーストライター』(10年)。ここに挙げても余りあるの数々の名作を生み出し、輝くような栄光をあびてきたロマン・ポランスキー監督だが、同時に彼の人生は、それ以上と言っても過言ではない苦難に苛まれてきた。まるで、彼の人生そのものが映画のように。

幼少期はポーランドでユダヤ人として第二次世界大戦を迎える。母親をアウシュビッツで失うが、ユダヤ人のゲットーからひとり逃げ出し、のちに大学で映画の道へ進む。デビュー作はポーランドで認めらなかったが西側諸国で大きく認められ、イギリス、アメリカへと制作の拠点を移す。作品に対する輝かしい評価がもたらす栄光のなか、女優シャロン・テートと68年に結婚。しかし翌年、妊娠8ヶ月だったテートはポランスキーの自宅でチャールズ・マンソン率いるカルト教団に殺される。77年には、ロサンゼルスで未成年への淫行をしたとして逮捕されるが、無実を主張し保釈中に海外へ逃亡。それ以来アメリカには一度も入国していない。09年にチューリッヒ映画祭に出席するためスイスに滞在中、77年の前述の容疑で身柄を拘束された。この作品はそのときに撮影されたものだ。映画だけでなく、その人生に関してだって、ここに挙げても余りあるほどのストーリーがある。

この作品は、“だれも知らなかった”彼の人生が解き明かされるという話ではない。彼の人生は、さまざまなスキャンダルに覆われ、つねにマスコミなど周囲の目に晒されてきた。そのため、少し調べればいくらでも彼の壮絶な人生を知ることができる。しかし、そのほとんどは、他者によって語られたものばかりのはずだ。しかし、この作品では、ロマン・ポランスキー本人が、その人生と映画について語る。

彼の人生の中での記憶や思いは、多くの作品に投影されていることを知ることができる。壮絶な苦難を経てもなお、なぜ映画を作り続けているのか…。なぜ、これほどまでに多くの傑作を生み出し続けることができるのか…。

私たちは、このドキュメンタリーを通してロマン・ポランスキーという偉大な映画監督を、ようやく本当の意味で知ることができるのかもしれない。


Reviewer : yuki takeuchi

ABOUT THIS FILM

6月1日(土)より、渋谷シアター・イメージフォーラムにて6週間限定公開

同時上映 
「ローズマリーの赤ちゃん」ニュープリント版
「水の中のナイフ」「反撥」「袋小路」デジタルリマスター版

(2011年 / イギリス、イタリア、ドイツ / 90分 / ヴィスタ)

監督:ローラン・ブーズロー
キャスト:ロマン・ポランスキー

TRAILER