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『17歳』Jeune & Jolie

鬼才フランソワ・オゾンが、少女と大人の間で揺れる17歳を描く

2013年末に『危険なプロット』が公開されたばかりのフランソワ・オゾン監督。続けざまに届けられた本作は、前作同様に高校に通う若者が主人公であり、17歳という少女と大人の間で揺れる、イザベルの夏から始まり春で終わる物語だ。

夏、パリの名門高校に通うイザベルは、医師である母とその再婚相手の義父、そして弟とともに、家族揃ってと海辺へと長期のバカンスに訪れる。まだ、あどけなさが残るイザベルだが、どこか大人のような美しさをまとっている。彼女は、17歳の誕生日を迎えるとともに、バカンス先で出会った年上の男と浜辺で初体験を終える。季節が巡り秋になると、イザベルは、放課後にSNSで出会った不特定多数の男たちと出会い、体を重ね合わせるようになっていた。しかし、ある日、馴染みの初老の男が行為の最中に急死してしまう。慌てて、その場から逃げ去ったイザベルだが、警察の知るところとなり、彼女の行為は家族に明かされてしまう—。

17歳という少女と大人の間で揺れ動くイザベルは、心も身体もセクシュアリティも複雑で、歪で、だからこそ儚くも美しい。そこに、他者の安易な理解が入り込む余地はない。なぜ、イザベルはこのような行動をしているのか。彼女の家族は理解することができない。例えば、彼女は、母親が再婚相手の義父以外の男性と密かに仲睦まじく会っている姿を目撃してしまうが、それとて彼女をあのような行動に移させた決定的な要因のようには思えない。幾度となく繰り返す売春によって得た大金も、それを何かの為に貯めているとか、何かに使っているような場面もない。イザベルの家庭は裕福だ。ましてや、単なる快楽のためでもないと彼女は語る。イザベルはいつも寡黙で、家族や同級生にすら心を開く様子もない。

しかし、フランソワ・オゾン監督は、彼らしい緻密な構成や刺激的で演出、映像によって、その17歳との機微を少しずつ繊細に浮き上がらせていく。

それぞれ季節のエピソードの始まりのイザベルが他者の晒されている視点。夏の浜辺で初めて男性と交わったときに、イザベルが見るもう1人の自分。幾度となく登場する鏡に映るイザベル。イザベルが通う高校で、彼女を含む学生たちが朗読するランボーの詩。そして、季節の節目に流れるフランソワ・アルディの曲。それはむしろ、ポップソングの型にはめられたような美しいさではない、そこにもっと深い残酷さがイザベルの心に漂っていることを感じさせる。その残酷さは、『危険なプロット』の少年クロードにも通じる。客観的で、どこか醒めた目でゲームを楽しむような、自身をも弄ぶような残酷さ。それは、どこから来るのだろうか。もしかしたら、外的な要因からではなく、身体的にも、精神的にも子供から大人に成っていくことそのものが、そもそも残酷なことなのかもしれない。それは、ときに自身を傷つけ、痛みをともなうが、同時に儚さを抱え、どこか美しくもある。

そして、イザベルを演じてカンヌ映画祭でも絶賛されたマリーヌ・ヴァクト同様、この物語の重要なキーパーソンでるシャーロット・ランプリングの登場は、一連の流れに、ある結末と解放をもたらしてくれる。そのとき、この『17歳』は、フランソワ・オゾンがシャーロット・ランプリングを主演に描いた『まぼろし』にも通じているのではないかと感じさせてくれる。


Reviewer : yuki takeuchi

ABOUT THIS FILM

2月15日新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座他にて全国公開

出演:マリーヌ・ヴァクト、ジェラルディン・ペラス、フレデリック・ピエロ、シャーロット・ランプリング
監督・脚本:フランソワ・オゾン

2013 / フランス / カラー / フランス語 / 94分 / アメリカンヴィスタ / 5.1ch

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