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『レッド・ファミリー』RED FAMILY

お隣家族の正体は北朝鮮のスパイ集団だった!?鬼才キム・ギドクが贈る、異色の家族の物語

誠実な夫、美しい妻、優しい祖父に愛らしい娘、人も羨む理想の家族の正体は、何と北朝鮮のスパイ集団だった!?外では理想の家族を演じながら、任務を遂行する4人の北朝鮮スパイたちの隣に住むのは、日々喧嘩の絶えない典型的なダメ家族。「資本主義の限界」と彼らをバカにしていたスパイたちだが、ありのままの感情をぶつけ合う家族の姿に次第に心を動かされていく。やがて任務に、人生そのものに疑問を感じ始めたスパイたち。母国に残された各々の家族の命と引き換えに4人に与えられた最後のミッションとは、、、

鬼才キム・ギドクが制作・脚本・編集を手がけ、ギドクの秘蔵っ子イ・ジュヒョンが長編監督デビューを飾った、異色の家族の物語。
キム・ギドクと言えば、熱烈的なファンの支持がある一方、その特異な作品性ゆえ二の足を踏んでしまう人も少なくはないのではないだろうか。しかし、そんなギドク食わず嫌いだった人にこそ本作を観てほしい。というのも、本作は、キム・ギドク特有の毒を含んだ脚本や驚きのとんでも設定といったギドク要素はそのままに、フレッシュな才能イ・ジュヒョンが監督を手がけたことによって、コミカルでテンポの良いとても風通しの良い作品になっているのだ。イ・ジュヒョンの短編アニメーション映画を観て、「人間が受ける苦痛を理解し、生きることに悩みながらも、暖かい視線を持っている」とギドクは評しているが、ギドクのシナリオに込められた「南北の家族の在り方を通して家族というものを問いたい」という思いを、より多くの人に届けるために、ギドク自身の手で撮るのではなく、よりピュアで暖かく普遍的な作品を作れると見込みんだイ・ジュヒョンに全て託したことが功を奏している。(実際、第26回東京国際映画祭でも見事<観客賞>を受賞し、多くの人の心を掴んでいる。)

また、南北問題を扱ってはいるものの、そこをシリアスに見せるのではなく、北朝鮮スパイたちの諜報活動や(外では素敵家族を装っている4人が、家に入るやいなや嫁が班長で部下をビシバシと調教、「キム・ジョンウン同志万歳!」と皮肉ってみせるシーンなど、ニヤリなユーモアもあり)、隣のダメ一家とのやり取りを、皮肉とユーモア交えコミカルに見せていてエンターテイメントとして楽しめる。そして、本作の最大の見せ場、終盤の北朝鮮スパイたちによる一世一代の<家族芝居>は、、、観てのお楽しみということで。(ハンカチのご用意をオススメします、とだけ言っておきます。)

ところで、目下大注目のギドク最新作『メビウス』(12/6より全国公開予定!)も<家族>がテーマとのことだが、果たして同じテーマとして捉えて良いものか、、、と頭を悩ます完全別次元の<家族>の物語となっている模様。これまた楽しみなことしきりなのだ。


Reviewer : yoshi

ABOUT THIS FILM

10月4日(土)新宿武蔵野館他全国順次公開

監督:イ・ジュヒョン
エグゼクティブ・プロデューサー、脚本:キム・ギドク
出演:キム・ユミ、チョン・ウ、ソン・ビョンホ、パク・ソヨン

(2013年 / 韓国 / 100分 / カラー / ビスタ / 5.1ch )

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