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『マジック・イン・ムーンライト』Magic In The Moonlight

対立するマジシャンと占い師、果たして2人に恋の魔法はかかるのか!?

ウディ・アレンの作品には大きく分けて、現実的なシニカル路線と(前作『ブルージャスミン』なんかはまさに)、マジカルなロマンティック路線の二つに分けられると思うのですが、最新作『マジック・イン・ムーンライト』は後者、これぞウディ・アレンの真骨頂でしょう!てな感じのウディファンはニンマリなマジカルなロマンティク・コメディに仕上がっている。

ウディ作品と言えば、キャスティングの妙も見所の一つなわけですが、今回もまた絶妙!頭が固くて皮肉屋の天才マジシャンには、ジェントルで正統派イメージのコリン・ファースをキャスティング。ウディ作品に出て来る男性は、みな気難しくて皮肉屋というか、、、ウディ自身の分身のような役柄になるので必然的にひねくれた男性しか出てこないわけですが(笑)こういう役をコリン・ファースのような俳優が演じることが面白いし、新しい発見があって楽しいですね。
そして、ヒロインの天真爛漫で可憐な占い師には、本年度のアカデミー賞作品賞に輝いた『バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇蹟)』でも話題のエマ・ストーンをキャスティング。ウディの旬な女優を見極める臭覚には毎回恐れ入りますが、今作はエマ・ストーンで来ましたか!と。センス良いですわ、ほんと。
しかも、エマ・ストーンがこれまたウディ作品の世界観にすごくハマっているんですよね。華奢で少女っぽい感じが、『カイロ紫のバラ』とか『アリス』の頃のミア・ファローを彷彿させるというか。キュートなコメディエンヌぶりにときめいちゃうこと必至です。

と、前置きが長くなりましがが、そんな絶妙なキャスティングで贈る、天才マジシャンと天真爛漫キュートな占い師の一筋縄でいかないロマンティック・コメディ『マジック・イン・ムーンライト』。“マジシャン”(マジック、マジシャンはウディ作品に度々登場する重要なキーワードとも言える)そして“対照的な男女の恋愛物語”というキーワードで、2001年の作品『スコルピオンの恋まじない』を思い出したりしました。始めは対立する2人がどんな過程を経て恋に落ちていくのか、、、。『スコルピオン~』はマジシャンの催眠術によって操られる2人が最終的に恋に落ちていくという、まさにマジックが話の柱にある物語でしたが、今作『マジック・イン~』はエピソードとしてトリックやマジックはあるものの、むしろ対立する2人が何故だか惹かれ合っていってしまうという、“恋の魔法”を描いた作品だと言える。とくに、始めは「インチキだ」とバカにしていたソフィ(エマ・ストーン)に対して、スタンリー(コリン・ファース)が「この気持ち認めたく無い、、、」と葛藤しながらソフィに惹かれていく様が何ともおかしくていい。「人が誰かに出会い、その相手に対して前向きでロマンチックな感情を抱くというのは、間違いなく魔法のようにワクワクすることなんだよ」とウディは言っておりますが、その“マジックのような恋”に、マジシャンとか占い師というモチーフをかぶせてくるというその粋なセンスですよね。そのヒラメキこそが他と一線を画すところだと思いますし、私たちがウディ作品に魅了されてしまう最大の理由なんだと思います。

ところで、ウディ今年でおいくつなのだろう?と調べてみたところ、何と80歳ですよ。生涯現役、その上多作、しかも2010年代に入ってから『ミッドナイト・イン・パリ』や『ブルー・ジャスミン』しかり、名作続きで新たなる黄金期に突入している気さえするのだから脱帽です、、、。また、次回作もすでに発表されており、エマ・ストーンが2作続けての登場(ウディお気に入り女優になったんですね。でもすごくうなずけます!)、そしてこれまた旬な男(!)ホアキン・フェニックス(これめちゃくちゃ楽しみですわー)のキャスティングで早くも話題になっているとのこと。『マジック・イン・ムーンライト』が公開されたばかりだというのに、、、早くも次回作に胸が高まるばかりです。


Reviewer : yoshi

ABOUT THIS FILM

4月11日(土)新宿ピカデリー、丸の内ピカデリー、Bunkamura ル・シネマ他、全国公開

監督&脚本:ウディ・アレン
出演:コリン・ファース、エマ・ストーン、マーシャ・ゲイ・ハーデン

提供:KADOKAWA、ロングライド  
配給:ロングライド   

2014年/アメリカ=イギリス/98分

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