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『8マイル』はそのエミネムの自伝的サクセス・ストーリーをベースにした映画。ここに描かれているのが実際にあった出来事なのかというと実はそうではないのだが、エミネムの過去がこの映画のインスピレーションソースになっているのは間違いないし、誰が何と言おうとこれは「エミネムの映画」だ。なぜならわたし達は、スクリーンの中に生々しい素顔のマーシャル・マザーズ(=エミネムの本名)の存在を感じずにはいられないのだから。 そしてこの映画は、エミネムの映画であると同時に、ヒップホップの本質をきっちりと描いた作品となっている。単にBGMにヒップホップが使われているだけの、安っぽいヒップホップ・ムービーではない。1995年ごろのデトロイト・ヒップホップ・シーンが真実味溢れる形で描かれ、そこで苦悩し、オーディエンスを沸かせる自信を身につけるまでの若き日のエミネムの姿は、シルヴェスター・スタローンの『ロッキー』のように、観る者に勇気を与えてくれる。 正直なところ、これまで、ヒップホップスターとしてのエミネムには、全く興味を持っていなかった。“EVERY MOMENT IS ANOTHER CHANCE(あらゆる瞬間がチャンス)”---『8マイル』を観ようと思ったのは、このいかしたコピーのせいだった。チャンスをものにするかどうかは自分次第。このコピーに違わず、『8マイル』は観終わった後に、清々しく、そしてアツい気持ちにさせてくれる。こんな映画は手放しで支持せざるを得まい。 Text:ayako nakamura |
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