ブレット・モーゲン:
1968年10月11日、ロサンゼルス生まれ(ロバート・エヴァンズとアリ・マッグローの息子ジョシュア・エヴァンズと同じ学校で2つ上の学年だった)。


ナネット・バースタイン:
1970年5月23日、バッファロー生まれ。


と、いうことは僕らが取材した時でブレットは34歳、ナネットは33歳。若い。
二人はNY大学大学院の映画学科で知り合って(「同じクラスではなかった」とブレットは言ってたけど)、一緒に『On the Ropes』(1998)を撮る。内容は、NYブルックリンのボクシング・ジムを舞台に、3人の若い黒人ボクサー達の青春を、まるでドラマのように切り取ったもの(構図は劇映画みたいだし、ハンサムなノエル・サンティアゴ君は試合で負け続けるし、美少女のティレーナ・マンソンちゃんは強いのに身内のドラッグ絡みの事件に巻き込まれて後半は法廷ものみたいな展開に……事実はフィクションよりドラマティック!ってな感じの作品)。この作品で99年のアカデミー最優秀長篇ドキュメンタリー賞にノミネートされ、アメリカ監督組合ドキュメンタリー部問の最優秀監督賞と国際ドキュメンタリー協会の最優秀ドキュメンタリー賞を、さらにサンダンス映画祭審査員特別賞などを受賞した。これがきっかけになって『くたばれ!ハリウッド』の企画が舞い込むことになる。他にミニTVシリーズ『Say It Loud: A Celebration of Black Music in America』 (2001)もコンビでやっていて、本作を含む3作品が共同監督作。 今後はコンビを解消してそれぞれで監督業に励むようだ。
左:ナネット・バースタイン/右:ブレット・モーゲン
(c)Junya Inagaki
『Kid Notorious』
中央が漫画キャラになったロバート・エヴァンズ。
なお以前の単独作に、ブレットは『Ollie's Army』 (1996)、TVシリーズ『On Tour』 (1997) 、TV『Sweet Science』(?不明)があり、ナネットは『天皇の名の下にIn the Name of the Emperor』(1998) の脚本・編集、そしてTV『Before You Go』(1995?)がある。このナネットが脚本・編集したケビン・チャン『天皇の名の下に』は、南京大虐殺事件のドキュメンタリー(!)だけど、ナネットは「仕事をしただけ」と触れたくない感じ。来日初日の食事の時、ブレットに「あの中国絡みのドキュメンタリーは……」とニヤニヤと突っ込まれて足を蹴ったりしてたんだそうだ。うぷぷ。あっ内緒だったっけ、この話。ま、「一時期つき合ってたけど今は別れて、もうそれぞれパートナーがいるのでそこらへんには触れないで」って言ってたことを内緒にしとけばいいか(←ってオイ)。

で、ブレット・モーゲンの次回作は『Kid Notorious』、なんと『くたばれ!ハリウッド』のTVアニメーション化作品だ。コメディセントラルにて放送(今年10月スタート、夜10:30からとか)。『サウス・パーク』の後番組かな。なにやらコメディセントラル始まって以来の宣伝費をかけた意欲作らしくて、ホントかどうか知らないけどTVゲームまで企画されてるとか。ロバート・エヴァンズは「漫画キャラになったハリウッド・プロデューサーってのは僕だけだよ」ってちょっと自慢げらしい。ハンナ・バーベラ風?の超笑えるアニメ(『コンフェッション』のパロディみたいなCIAネタもある)だとか。そして夏から撮影に入るのが『Everyone Hates the Phone Company』(HBO FILM)。ジョー・ダンテがエグゼクティブプロデューサーを務める、実話を元にしたハッカーの物語(ということは初のフィクション作品になる)。

ナネット・バースタインの次回作は、『the fastest woman - the world』(マリオン・ジョーンズの、出産後オリンピック出場までのドキュメンタリー)。また夏にリビアに行って、カダフィーを追ったドキュメンタリー「the leader」(仮)を作る予定。

Text:梶浦秀麿
『くたばれ!ハリウッド』
2003年9月20日より、ヴァージンシネマズ六本木ヒルズほかにて公開
監督・脚本:ブレット・モーゲン & ナネット・バースタイン/原作:ロバート・エヴァンズ
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