ついに、あのカルト作『天才マックスの世界』(原題[Rushmore]98年→日本ではビデオのみ00年4月発売)のウェス・アンダーソン監督による新作『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』が、日本初の劇場公開作として登場する。

ある者は前作『天才マックスの世界』をアメリカで劇場公開時に観たと自慢し(みのわあつお「この映画がすごい!」10月号)、はたまた「ひと言で言えば、我々映画評論家が手放しで褒めざるを得ない映画である」(江戸木純「週刊プレイボーイ」36=9/6号)だとか「面白すぎる。『はずし』の天才、ウェス・アンダーソン監督のオフビートな話術に抱腹絶倒だ」(佐藤睦雄「ブルータス」9/1号)なんて上擦った感じで多くのレヴュ−が書き始められたりしている。かように自称目利きの映画クロウト達からは大絶賛の嵐なのである。で、彼のデビュー作『アンソニーのハッピー・モーテル[Bottle Rocet]』(96)がBSサテライトチャンネルでのみ日本に紹介されていたことすら知らなかった僕は、思わずあせって色々調べてしまった。どうやら知る人ゾ知る「伝説の新人映画作家」らしいのだ。

『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』
監督:ウェス・アンダーソン/出演:ジーン・ハックマン、アンジェリカ・ヒューストン、ベン・スティラー、グウィネス・パルトロウ他
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第二作『天才マックスの世界』のビデオ発売が、日本での「伝説」の発端だろうか? 僕にとっては去年の夏、スタジオ・ボイス01年8月号「特集:POST-HOLLYWOOD最終[アメリカ映画]」(町山智浩ほか編集執筆)で、「タランティーノ以降の尖端作家30人」のうち「正当継承派」として特集のトップに挙げられていたのを読んでビックリしたのが最初の出会い。なにしろ「ハリウッド若手監督の最有望株」ってな紹介記事なのだ。で、『天才マックスの世界』を無性に観たくなったんだけど、まぁそこからが大変だった。まず近所のTUTAYA他レンタルビデオ屋を8件ほどハシゴして探し回ったんだけど置いて無くて、でもUNZIP編集部の中村さんは既に観ていて「サイコーです」と太鼓判を押していたりするものだから、今度は新宿TUTAYAを覗いては、ずうっ〜と貸し出し中の、一本しかない『天才マックスの世界』の空箱を虚しく見つめること数ヶ月(後半は電話で確認すること数度)。ついには『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』の試写が始まってしまった。で、この三作目の方を先に速攻で観てみたらアラアラ、これは何というか(期待したほどではないにしろ)僕が好きな「ヘンな映画」路線の傑作ではないですか! 豪華キャスト陣も凄いので、「アカン、洋画クロウトさんには、この秋最高の話題作にはなるはず、ヤバイ」と急いで前作が3本置いてある渋谷TUTAYAに通うこと3度目、やっとその内の1本が棚にあるのを発見! 思わずその場で会員登録して即ゲットしてしまった(しかしTUTAYAのカードが4支店分あるオレって……)。あ、その前に電話しまくってた新宿店にも1本追加される予定との情報をもらったりとか、新宿店は電話予約取り置き当日のみで、渋谷店は1時間だったかの時限取り置きしかしてくれないだとか、妙に余計なTUTAYA豆知識を増やしての約1年がかりの“『天才マックスの世界』獲得への旅”を、孤独に成し遂げた次第。ま、そういう経緯もあって、やっと劇場公開される『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』には、なかなか感慨深いものがあるワケなのである。(1/5)→次ページへ
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Column1:Hidemaro Kajiura
『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』と天才ウェス・アンダーソン監督の世界
Column2:Toru Hachiga
『ザ・ロイヤル・ネテンバウムズ』サウンドトラックを聴きながら

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